突然、馬鹿貴族がドアを開けて部屋の中へ入って来たので、ミネバは慌てて馬鹿貴族の対応をする。
「侯爵家の令息様ともあろうお方が、ノックもせずに勝手にドアを開けて、入るような振るまいをされるのですか? あと、なぜこの部屋を使っているのかということですが、それは宿泊の手続をしたからです。判られましたらどうかお引き取りください」
「ふん、何を言うかこの下賤な平民風情が! この部屋は俺が使うことにしたから、さっさと部屋から出ていけ!」
ミネバが貴族として常識を逸脱した行為に、毅然とした態度で抗議をしたあと、正規の手続きを踏んでると伝えて退室を促す。ライルは激昂して大声で叫びたすと、流石のミネバも語気を強めて言い返す。
「そのような傍若無人な行為は、流石に高貴なる貴族として恥ではありませんか?」
「貴様、不敬でその首を刎ねられたいのか?」
「くっ……」
ミネバの抗議に対して逆ギレしたライルは、『不敬』を口にしてミネバを黙らせた。私は偉そうに怒鳴り散らすその態度に『イラッ』としたので、ライルの前に出て文句を言ってやっることにした。
「侯爵家って言ってもさ、当主でもないあんたはただのバカ息子だよね? ゆっくりと休みたいからバカは出て行ってくれない?」
「貴様ぁあ! 誰に向かって言ってるんだ! ほぅ、お前はよく見れば良い女じゃないか! お前だけはここに残れ、他の者は部屋から出ていけ!」
クソバカ過ぎて私の言葉を理解できないみたい、流石にこちらの怒りが頂点に達したので、気になっていたスキルを使って、この馬鹿貴族の令息を葬ることにした。葬ると言っても命を断つのではなく、貴族として生きる未来を葬るんだけどね。その方がコイツにとっては死ぬこと以上に辛いだろうからね。
「キモ過ぎるね。お前に引導を渡してあげるね。アリス.フェリシアはライル.グリフィスが侯爵家の令息であることを〘拒絶〙する!」
そう、アイツの相手は面倒臭いので、貴族であることを〘拒絶〙して『サクッ』と解決してやったの。
部屋の騒ぎに気づいたホテルの従業員たちが駆けつけると、マネージャーがライルを取り押さえる指示を出して、騒ぎが起こったことの謝罪をしてきた。
「不審者が紛れ込んでしまい、誠に申し訳ございませんでした。直ちに排除を致します」
「何が不審者だ! 俺はグリフィス侯爵家のライルだぞ! 離せこの無礼者が!」
必死に自分が侯爵家の令息だと言って、拘束を解くように警備員に命令をするが、なにを言ってるのか不思議そうな顔をしながら取り押さえていた。
「何を意味の判らないことと言ってるんだ? グリフィス侯爵家には令嬢のカロリナ様しか居ないだろうが! 嘘をつくならもっとマシな嘘つけ!」
「バカ言え! 俺は姉上の弟ライルだ! グリフィス侯爵家へ確認すれば判るはずた」
ライルは大声で叫びながら連行された。私が〘拒絶〙したことにより貴族から平民に成り下がってしまったので、これから死ぬほどの苦労が待ち受けているだろう。
ライルの騒動が落ち着くと、マネージャーが部屋に訪れて改めて謝罪をしてきた。
「この度は誠に申し訳ございませんでした。宿泊代は頂きませんのでどうかお許しを」
「うん、流石にあれはないよね。次からは、しっかりと警備に当たってくださいね」
謝罪を受け入れたあとは、美味しい夕食に舌鼓をうってから、大きな浴室で湯浴みを済ませて、次の日に備えて就寝をしたの。