翌朝、目を覚まして湯浴みを済ませたあとは、みんなで朝食を取って王都へ向けて出発する。
ミネバはホテルを出る前に、昨晩に起こったことの顛末を、ホテル側に説明を求めた。
「昨晩、部屋へ乱入してき暴漢への処分は、どうなったのでしょうか?」
「あの貴族だと言い張る者は、すぐに警備隊へ突き出し牢に収監されてます。ホテル側としては裁判の手続きをとり、重罰である労働奴隷として鉱山に送る請求を致します」
「まぁ、当然の処置ですね。私どもは事を大袈裟にするつもりはありません」
「配慮に感謝致します」
マネージャーは厳しい処罰を求めるようで、私はホテルの対応に満足して、要塞都市ヴェガをあとにした。
要塞都市ヴェガから王都への道程は、街道も綺麗に整備されていてとても快適だった。当たり前だけど盗賊や魔物からの襲撃も全くなく、平穏無事に王都へ到着した。
今は王都へ入るために入都審査を待っているんだけど、王都を訪れる人って凄く多くて、ここまで時間がかかるのかと思った。
貴族なら貴族専用の門があって、そこを素通りできるみたい。商隊も特別な通行許可証を持っていれば、通商専用の門で簡易審査をするだけでいいらしい。
「はぁ~、これなら商会でも起ち上げて、通商専用の門を通れるようにしちゃうのが良いかも知れないね」
待ちくたびれた私が、商会を立ち上げようなんて言ってみると、ミネバがその必要がないことを教えてくれた。
「今回の入都審査だけ我慢して頂ければ、王都で屋敷を購入する予定なので、アリス様が〚転移魔法陣〛を設置されれば、馬車移動は不要となりますよ」
「おぉー! 流石はミネバだね!」
良いアイデアを教えてくれたので褒めると、ミネバは首を振りながら自分の手柄ではないと言ってから、商会の立ち上げについて言及をしたの。
「いいえ、私だけのアイデアではなくて、
そんな会話をしていると、私達の入都審査の順番がやって来たので、ミネバが対応をしてくれた。
「王都へ来た理由を教えてください」
「グリエル英傑学園への入学受験で参りました。私と受験者4名と御者1名に同行者2名の合計8名です。こちらが全員の身分証明書と入都の申請書になります」
ミネバはそう言ったあとに、入都審査官へ身分証明書と申請書を手渡しで提出する。
「確認をするので、少々お待ちください」
「はい、お願いします」
暫くすると入都審査官が戻って来て、ミネバに身分証明書を返す前に話しかけてきた。
(なんだろう、書類に不備でもあったのかな?)
「書類に不備はございません。ただ、大変申し訳ありませんが身分証明書と本人が間違いないのかを、確認させて頂きたいのですが、よろしいでしょうか?」
「はい、構いませんよ」
馬車から全員が降りて、身分証明書と同一人物かを確認してもらうと、私の顔を見た入門審査官の動きが一瞬止まってので、首を傾げながら話しかける。
「どうかされましたか?」
「あっ、申し訳ない。恥ずかしながら、貴女の美しさに見惚れてしましました……」
「あはっ、あ美しいと言われると嬉しいものですね。ありがとうございます」
「いえ、確認は終わりましたので、どうぞお通り下さい……本当に申し訳ありませんでした」
そんなやり取りを終えた後は、王都へ抜ける大きな門を通って、王都内へ入って行ったの。