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第7話 王都で物件を探す

 翌日、朝食を済ませてからホテルを出る。


 まずは王都で暮らすための屋敷探しへ、不動産を取り扱う商会へ馬車を走らせた。


 布教活動て王都にある教会総本部に居た経験があるフランシスコの紹介で、高級物件を専門に取り扱うペイトン商会を目指す。


 私のことを現人神だと信じてるフランシスコの紹介なので、商会から勧められる物件は、かなり豪華な物件なんだろうと予想しながら、ペイトン商会の立派なドアを開ける。


 建物に入るなり、誰が見ても偉そうだと判る人物が、私の元へ歩み寄ってきて挨拶をする。


「アリス様の来店を心よりお待ちしてました。私はペイトン商会の会長をしているペイトンと申します」

「アリスです。大変お忙しい中にもかかわらず、商会長自らの出迎えに感謝します」

「とんでもない! フランシスコ様から最高の物件を、アリス様へ紹介するように伺っております。最高の物件は高級区域にございますので、すぐにご案内致します」


 私が普通の物件で良いと伝えようとすると、ミネバがペイトンに質問をする。


「ペイトン会長、その物件は並の貴族ごときに負けない最高の物件ですよね? アリス様はグリエル英傑学園へ首席で通われます。王子や王女がひれ伏すアリス様には、最高の環境でなければなりません」

「はい、心得てます」


 まだ試験も受けてないのに、首席で通うなんてことを『サラッ』というミネバ。ごく普通の私に高望みをしないで欲しい。


 その後、ペイトンの用意した馬車に乗って、高級区域にある物件を見に行く。流石は高級区域だけあって立派な建物が並んでいた。


「こアリス様、こちらがご案内する最高の物件となります」


 ペイトンが連れて来たのは、見渡すのが大変なくらいの広大な物で、屋敷内にはサロン、食堂、厨房、保管庫、浴室、他にも大小の寝室を含めて20部屋以上あって、屋敷外にも厩舎、訓練場、大庭園に大きな露天風呂があって、私の想像を遥かに超える物件だった……。


「えっと……、これへ立派すぎたりしない?」


 私はあまりにもの豪邸だってので、少し引き気味にみんなに聞いてみた。


「私はアリス様に相応しい屋敷たと思います。本音を言わせて頂けば、王城よりも劣っているのが不満ですが、緊急を要することなので妥協します」

「「姉様に同意します」」


 ゼシカが少し失礼なことを言ったけど、アナとリューネもこの屋敷に賛成したので、私としては断る理由がない。


「あなた達がそう言うならここでいいか」

「「はい」」


 私としては、豪邸過ぎると思ったけど、みんなの意見を尊重して屋敷の購入を決めたので、私はミネバに頷いて合図をする。


「ペイトン会長、こちらの屋敷を購入したいと思いますので、購入の手続きをよろしくお願いします」

「ありがとうございます。契約書はこちらになります。この物件の価格は白金貨150枚となります」


 その場で契約書を交わしたあとは妖精の鞄フェアリーバッグから白金貨を取り出して支払いを済ませると、王都で暮らす屋敷の購入手続きは完了したの。


 すぐにでも住めそうな屋敷だったけど、ミネバからリフォームプランがあると聞かされたので、私の空き時間に〘万物創成〙を使ってリフォームを進めることになった。


 契約が終わったあとに、ペイトンから『美味しいお店を予約してる』と食事に誘われたので昼食を一緒にすることにした。


 食事中の会話では、ペイトンは面白い話を聞かせてくれた。なかでも不動産以外に宝飾品、骨董品、食品流通など、かなり幅広い商いをしてることを聞いた。この人とは、これからも仲良くしたいと思ったので、フランシスコに念話でそのことを伝えておいた。


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