ペイトンとの食事のあとは、ホテルに戻るには少し早かったので、王都にある七神女神教の総本部である【ヘプタセア大聖堂】へ向かって、七神女神様達にお祈りを捧げることにした。ペイトンにそのことを伝えると『大聖堂に同行したい』とい言うので、そのまま一緒に大聖堂へと向かった。
しばらく馬車に揺られながら移動すると、ヘプタセア大聖堂の前に到着する。
フランシスコから事前に渡された許可証を見せて、大聖堂の身廊から祭壇へと向かう。そして祭壇の前にある七神女神様像の前に立つ。私が祈りを捧げようとすると、祭服を身に纏った老人が近寄って来て声をかけてきた。
「このような時間に来訪者とは珍しいですね。私は七神女神教の教皇レオナルドです。私も一緒に七神女神様たちへ祈りを捧げさせて頂いてもよろしいかな?」
なんと老人は教皇だった。とんでもない大物に声をかけられ、これを断ることは無理だ。
「はい」
私は教皇と横並びになりながら、七神女神様像の前で膝まづいて目を閉じて祈りを捧げる。今回も私の身体から7色の光が輝いて、そのまま全身を包みこんだ。
「現人神アリスさん、王都へようこそ!」
「生命の女神アネモネ様、お久しぶりです」
女神と現人神の挨拶のあとは、神同士の会話が始まる。
「王都へは、グリエル英傑学院の入学試験のために来たので、ヘプタセア大聖堂へ祈りを捧げに参りました。入学試験に無事合格して英傑学園へ通うようになれば、定期的に祈りを捧げに参りますね」
「ありがとうございます。アリスさんは現人神となった今でも、このように祈りを捧げてくれることを、大変嬉しく思います」
「いいえ、今の私があるのはアネモネ様のおかげですから、他の女神様達にも宜しくお伝え下さい」
「判りました。次の機会には全員に声をかけておきますので、みんなで賑やかな会話を楽しみましょうね」
「はい、では失礼します」
アネモネ様への挨拶と会話を終えると、教皇とペイトンが目の前で起こった現象に、驚きの眼差しを向けていたのだった。
「教皇様、私を神聖鑑定でご確認をしてください。今の現象の理由が判りますよ」
「かしこまりました。〚神聖鑑定〛」
私の言葉のあとに、教皇は神聖鑑定を行ったことで、私が現人神であると理解したのか、すぐに跪いたの。
「現人神アリス様! 貴女様に逢えた奇跡に感謝を申し上げます」
「頭を上げてください。私はこのように身体を持つ神ですが、世間では知られてません。来年からはグリエル英傑学園へ通い、この世界のことを学ぶ予定です。静かな環境で学びたいので騒ぎになることを望みません。ペイトンさんもご配慮を頼みますよ」
「かしこまりました。どうか大聖堂へお越しの時は、私にお声をおかけくださいませ」
「判りました」
深々と頭を下げて返事をする教皇に対して、ペイトンは額から大量の汗を流していた。私が祈りを捧げればこうなると判っていたから、平然とした態度で接することができたみたい。
大聖堂での祈りを無事に終えることができたので、ホテルへ戻ってからはゆっくりと寛ぎながら過ごしたのだった。