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第9話 入学試験 前編

 王都で屋敷を購入してからは、ミネバやゼシカ達の考えたプランでリフォームに取り組んでいると、あっという間にグリエル英傑学園の入学試験が行われる日を迎えた。


 試験会場はグリエル英傑学園で、学力試験は講堂で、魔術試験は演習場で、武術試験は闘技場と3つの会場に分かれて行われる。


 試験会場へは1人だけ同伴者が認められるので、私の同伴にはミネバが付いて来ることになった。


 受験番号は階級別に振り分けられて、特権階級(王族etc)は【001〜100】、上級階級(貴族)は【201〜500】、一般階級(平民)は【1001〜】となっている。私達は平民扱いなので一般階級での受験になるの。


 私の受験番号は【1051】ゼシカは【1052】アナは【1053】リューネほ【1054】の連番になっていたので、試験会場は同じになるみたいなので安心した。


 グリエル英傑学園に着くと、既に受験者へ向けたアナウンスが行われていた。


「特権階級は武術試験からなので闘技場へ、上級階級は魔術試験からなので演習場へ、一般は学力試験だから講堂へ向かうように」


 階級ごとに試験会場が違うというアナウンスがあったので、私は一般階級の受験者達と一緒に講堂へ向かうけど、見た感じだと300人程度って感じだった。グリエル英傑学園へ入学できるのは100人で、特権階級や上級階級を含めると800人ほどが受験するんだから、かなりの競争率みたいなので、従者全員が合格するのか心配になる。


 学力試験は【計算術】【戦術論】【魔術論】の3科目で、それぞれの試験時間は1時間。


 試験が始まってテスト用紙を見て問題内容に驚く。ハッキリ言って問題があまりにも簡単過ぎて、試験が開始して10分も経たないうちに全て書き終えた。あまりにも時間があまって暇なので、ミネバと念話をして時間を潰すことにしたの。


「ねぇ、この学園って、本当に世界最高峰の学園なんだよね?」

「はい、文武魔の全てにおいて最高峰ですよ」

「う〜ん、それにしては試験の問題が簡単すぎるんだけどな〜」

「えっ、そうなんですか? 因みにどんな問題なのですか?」

「問題を複写して妖精の鞄フェアリーポーチに入れるから確認してみて」


 私は問題を複写してから、妖精の鞄フェアリーポーチに問題用紙を入れてミネバに解いてもらう。


「あの、普通に難しいですけど?」


 ミネバはこの問題が難しいと言ってきた。単純にこの世界の学問レベルが低いだけみたいで、ミネバに聞いたことを申し訳なく思った。


「そ、そうなのね、なんかゴメンね?」

「いいえ、それよりゼシカ達は大丈夫そうですか?」

「大丈夫じゃないかな?」

「念話で確認して厳しそうなら多重演算ラファエルを使わせますか?」


 確実に合格させるために多重演算ラファエルを使うか聞いてきたけど、私のモラルがそれを許さない。


「それはダメ。この入学試験のために頑張ってきた人へ冒涜だよ」

「かしこまりました」


 そんなことを念話で話していると学力試験が終了して、そのまま昼食休憩に入った。


 従者達に学力試験のできを聞いたら8割は記入できたと胸を張っていた……。


 うん、武術と魔術の試験で頑張ってくれれば、間違いなく合格ラインに届くと思う。


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