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第19話 ルミナスの森への帰路

 グリエル英傑学園の入学に必要な制服や、教科書などの購入が全て終わったので、私たちは一旦ルミナスの森へ戻ることにした。


 ホテルのスイートルームで最後の朝食を取ったあと、エントランス前に着いたところで、ジェネラルマネージャーのアルバレスが声をかけてきた。


「アリス様、王都の滞在を満喫して頂けましたでしょうか?」

「はい、心のこもったおもてなしに感謝します。おかげで王都の滞在を満喫することができたよ」


 本当に至れり尽くせりの快適な時間を満喫できたので、心から感謝の言葉を伝えた。


「来年よりグリエル英傑学園へのご入学され、王都に屋敷を構えられれば、我々のホテルを利用することはないでしょうが、近くへ寄られる時は是非お越しください。世間話花を咲かせましょう」

「うん、言葉に甘えて寄らせてもらうね。それにちょっとした気分転換をしに宿泊しにくるね。それくらいこのホーリーキャッスルは素晴らしいホテルだったと思うの」

「お褒め頂き誠にありがとうございます」


 ジェネラルマネージャーと別れの挨拶を交わしてから、私たちはホテルを出発して、ルミナスの森へと戻る旅路に着いた。


 本当なら転移魔法陣を使って戻れるけど、旅行気分を味わいたい気分だったので、のんびりと馬車での旅を楽しむことにした。並列思考セラフィムに帰り道に珍しい物が取れるポイントがないか調べでもらうと、【アダマンタイト】と【ダマスカス】という希少鉱石が取れる場所があると言うので、そこへ寄って希少鉱石を採掘して帰ることにしたの。


「今回の帰り道でさ、希少鉱石がたくさん取れたらなんだけど、みんなの装備を一新しようかと思うんだけど、ゼシカたちはなにか希望とかあったりする?」


 希少鉱石なのでどれくらい取れるのか判らないけど、入学試験を頑張った3人の従者たちに、ご褒美に装備を新調してあげようと思ったので、希望がないかを聞いてみると、3人を代表してゼシカが応える。


「アダマンタイトにダマスカスなんて、伝説級いや国宝級の装備になります。私たちにそんな装備は釣り合いませんので、アリス様の装備にお使いください」


 希少鉱石を使った国宝級の装備に気が引けたのか? 釣り合わないと言って断ってきた。私にとっては国宝級なんてどうでもよくて、今の装備よりも良い装備を身に着けてもらい、命を守ることが最優先なので、そのことを念を押すように伝える。 


「ゼシカ、3人は私の大切な従者なんだよ? 命を守るために必要な装備を揃えること、これは主としての務めなの。それとも私と同じ素材は嫌なの?」

「あぁアリス様、勿体ないお言葉に感謝致します。アリス様と同じ素材使った装備を身に着けるなんて、我々には夢のようなことです。多重演算ラファエルと最適な装備を考えて、我々の希望をお伝えします」

「「お伝えします」」


 私が大切な従者だと言ったことに感激した3人は、目に涙を浮かべていた。私としては当然のことをしただけなのに、相変わらず大袈裟な反応だなって思った。


「うん、決まったら教えてね」

「「かしこまりました」」


 その後も移動を続けていると、並列思考セラフィムがダマスカス鉱石の採掘ポイントに近づいてきたと報告が入ったの。


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