私がミネバに視線で合図を送ると、私に代わって副総裁に2つのダンジョン情報が欲しいことを伝える。
「では、2つのダンジョンについての情報を頂くことは可能でしょうか?」
「直ぐに渡せないことはないが、2つの情報ともなるとかなり値が張ることになるぞ?」
「いくらでしょうか?」
「2つ合わせて金貨150枚になる。高難易度なダンジョンだけあって、情報を持ち帰る冒険者も命がけなんだよ」
副総裁は、かなり高額な情報料のことを気にしてるようだけど、金額に関してはなんの問題もない。私がなにも言わずに頷くと、ミネバが全てを察して返事をする。
「金額について問題はありません。両方の情報を頂きたいと思います。支払いについては、光の絆のギルド口座から差し引いてください」
副総裁は、金額を聞いて値引き交渉をする訳でもなく、支払うことを即決したことに驚いた表情を見せながら応える。
「了解した。すぐに用意させる。あと、これは強制ではなくこちらかの願いなんだが、ギルドへ来る時は事前に連絡をくれないか?」
副総裁から意外な申し出に、私は思わず首をかしげてしまう。事前に連絡をするのはいいけど、その理由をしっておきたいからね。これについてはミネバではなく私が直々に質問する。
「えっと、別に連絡するのは良いんだけどさ、理由を教えてもらっていいですか?」
私がここで初めて口を開くと、副総裁はミネバを相手にしてた時とは違う反応を見せた。なんというか、フランシスコが私に向けるものに近いように感じた。
「かしこまりました。我々冒険者ギルドはアリス様に対して、過去に何度も何度も失態を繰り返し、多大な迷惑をおかけしました。王都のギルドへ御用の時は、アリス様専属の担当者となり対応させて頂きたいのです」
副総裁が理由を伝え終えると同時に、私の前で跪いてから深く頭を下げたの。
冒険者ギルドが私に対して犯した失態について、副総裁自ら謝罪をし専属の担当者になるとまで言った。ここまでされては「はい」としか言えないので、ミネバに視線で合図をする。
「判りました。アリス様は来年よりグリエル英傑学園へ通われ、王都で過ごされることになるので、ギルドを訪れる時は連絡を致します」
「はい、ご配慮に感謝致します」
しばらくすると、ダンジョンの情報が記された冊子を手渡されたので、ミネバが挨拶をして談話室を後にすることにした。
「では、失礼致します」
「アリス様、本日はお越し頂き誠にありがとうございました。神々しいまでのご尊顔を拝し奉り感謝致します」
「あっ、はい、またお会いしましょうね」
そう伝えると、涙を浮かべながら感激していた。この人はフランシスコと同じ類の人だと確信したのだった。
これで全ての用事が終わったので、私たちは冒険者ギルド総本部を後にして、宿泊先のホテルへと戻ることにしたの。