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第63話 暗躍する従者②

 魔力操作の自習は、みんなにとって有意義なものだったようで、定期的に魔力操作の勉強会を開く方向になったの。リオネル以外は飲み込みも早そうなので、形状変化ができる日もそう遠くはないと思った。問題なのはリオネルで、彼は言葉の理解力を身に着ける必要があるみたい。良く言えば天才肌だけど、普通に言えばただの馬鹿だ。魔力操作は人並み以下、魔法は殆どの使えないのに、保有魔力量があの量ってことは、素質だけならクラスメイトの中でNo.1だと思う。本当に残念な人だと思った。


 自習が終わって帰宅しようかと思ったら、マリアンヌから声をかけられた。


「アリス様、有意義な時間をありがとうございました。学園内に美味しいケーキがあるカフェがあるなで、お礼にご馳走させてもらえませんか?」

「ケーキ! 行きたい! 甘い物は大好きだから、マリアンヌの言葉に甘えるね」

「はい、ではカフェへ参りましょう」


 私が嬉しそうに返事をして、マリアンヌと一緒にカフェへ向かおうとすると、アルフォンスとマルクセスが駆け寄って声をかけてきた。


「待って! 僕達もちょうど甘い物を食べたいと思ったんだ。カフェで同席しても良いかな?」


 2人も魔力操作を頑張ったから、体が甘い物を欲しているのかな? 同じカフェへ行くのならなんの問題もないので、同席することを認めたの。


「うん、一緒に行こう。おかわりする時は2人が奢ってね!」

「「任せてくれ!」」


 最低でも3つのケーキを食べられると思うとテンションが高くなる。カフェへ向かおうとするとアナが声をかけてきた。一瞬、なにか用事があったのかと思い『ドキッ』とする。


「アリス様、すぐに屋敷へ戻らないのなら、ミネバが迎えに来てると思いますので、少し待つようにと伝えてまいります」

「あっ、そうだね。お願いするね」

「かしこまりました」


 ミネバへの連絡をアナに任せて、私はカフェで予定通りにケーキを3つ食べて、至福の時を過ごしたの。

§アナスタシア視点§

 アリス様がマリアンヌたちとカフェへ行くと言われたので、この機会にバカ王子の取り巻きを粛清しに行こうと思った。ミネバが迎えに来てるはずなので、遅くなると伝えに行くと伝えて、この場を離れることにした。


「アリス様、すぐに屋敷へ戻らないのなら、ミネバが迎えに来てると思いますので、少し待つようにと伝えてまいります」

「あっ、そうだね。お願いするね」


 アリス様に伝えたあとは、多重演算ラファエルに頼んでミネバへ少し遅くなると伝えてもらうと、私はバカ王子の取り巻きの元へ向かう。奴等の居所はイリスがマーキングをしてくれているので、簡単に居場所の特定ができた。


「ふふっ、アリス様に『お前』などと言った奴は、相応の罰を与えてやるわ」


 私が死角から怒りの『怒気』をそのままぶつけると、どこからともなく襲ってくる『怒気』に恐怖した取り巻きたちは、両手を合わせて神に祈った。


「「神よ我々をお守りください!」」


(バカめ、アリス様こそが神なのだ。アリス様を「お前」呼ばわりした者が、神にすがったところで守ってもらえるわけがない!)


 そのあとも『怒気』をぶつけ続けると、取り巻きたちは失禁して気を失ったのだった。


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