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第14話 アリス先生

 殲滅戦を続けていると、魔物単体の気配を感じたのでその場で止まって声をかける。


「ゴブリンが単体で近づいてくる。私と従者で倒しちゃうから見ててね」

「「了解」」

「あの、私も加わっても良いですか?」


 私と従者が動き始めようとした時に、マリアンヌが声をかけてきた。休暇中にダンジョンでの討伐経験があるので、加わることに問題はないと思い認める。


「うん、出番はないと思うけどね。私、アナ、リューネの3人は盾を持って前へ、ゼシカとマリアンヌは後方で控えていてね」

「「かしこまりました」」


 私が指示を出すと、5人で戦闘態勢を取りながら少しずつ前へと進んでいくと、『ガサガサ』と目の前の草が揺れるとゴブリンが現れた。


「ギャギャ!」

「まず、突っ込んでくる相手に盾を向けて衝撃に備える。腕だけに力を込めずに体全体で受け止めないと、体勢を崩すから気をつけるの」

『ガツン』


 ゴブリンは私に向かって突進をしてきた。ステータス的にもこの程度は全く問題ないので軽く受け止める。


「こんな感じで受け止めて余裕があるなら、こんな感じにそのまま押し返しちゃうの。ヨッ!」

「ギギィ」


 そのまま折り曲げていた腕を伸ばして、ゴブリンを押し返すと『グラッ』と体勢を崩した。


「こんな感じで相手が体勢を崩せば、後はトドメを刺すだけだよ。リューネ!」

「お任せを」

『ズバッ!』


 完全に体勢を崩したゴブリンは、リューネの大剣を躱すことはできずに真っ二つに両断された。


 戦闘が終わって後ろを振り返ると、大草原で最弱のゴブリンが相手とはいえ、立ち回りの説明をしながら『アッサリ』と討伐したことに、クラスメイトは驚いてた。みんなのステータスを考えると、驚くほどのことではないんだけどね。


「まぁ、立ち回りはこんな感じだね。ゴブリンはグラスウルフよりもかなり弱いから、あまり参考にならないかも知れないけど、みんなのステータスなら落ち着いて対応すれば問題ないからね。単体の魔物が現れたら手本を見せるからしっかり学んでね」

「「了解」」


 この後も昼の交代までは、魔物の殲滅と討伐を繰り返していった。ゴブリンとグラスウルフでは、注意するポイントの違うことなど理解できたところで、朝の間引きは終わったので拠点へと戻ったの。


 疲れを癒した後の夕方からの演習も、朝と同様に殲滅と討伐を繰り返していった。男子から討伐をしてみたいと言われたけど、視界が悪くなる時間帯の戦い方も見て欲しかったので却下して、実戦よりも学ぶことに専念してもらったの。


 こうして初めての合同演習は無事に終了した。英傑学園に戻ってからは、十傑特権で授業には参加せずに、魔物との基本的な立ち回り方の練習を中心に行ったの。そして、次回の合同演習に向けて充実した毎日を過ごした。



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