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第15話 天敵の確認

§ジャミア視点§

 合同演習などという校外学習のおかげで、学園内の邪神徒を通してアリスという小娘を観察する。普段はクラスが違うこともあり小娘アリスを観察する機会に恵まれなかったが、合同演習は1年生が同じ大草原で活動するために容易に観察ができたのだ。


 小娘アリスのステータスは七神女神の加護があること以外は判らない。恐らく隠蔽の類をしているのだろうが、魔物との戦闘や睡眠時なら解除されるはずだから、怪しまれない程度に観察することにした。


 大草原での合同演習が始まって、小娘アリスの同行を注視しているとチャンス到来。グラスウルフが現れ戦闘が始まったのだが……、小娘アリスは戦闘に加わらずガキ共の様子を見てるだけだ。怪我をした小僧を治療しただけで終わってしまったのだ。


(何故だ? これでは小娘アリスのステータスが全く判らんではないか……)


 魔物と戦闘をすれば、隠蔽は解けてステータスを確認できると思ったが、小娘アリスのステータスは判らぬままだ。それでも何かしらのスキルを使うのかと思ったが、大草原の魔物が相手ではスキルを使う必要が無いようだった。後は睡眠時に隠蔽が解かれることを期待して、夜になるのをひたすら待つことにした。


 深夜になり周囲が静まったところで、小娘アリスが眠っているテントを目指す。流石にテントの中に入ることはできないので、外から小娘アリスのステータスを覗き見ようとすると、予想外の事態に驚いた。


(何故、6人もの気配があるのだ?)


 なんと、小さなテントに6人の気配があったのだ。どうすればこの中に全員が入れるのか興味があるのだが、中に入って確認することはできないので外から確認することにした。


(何故だ? 気配はあるのにその場に小娘アリスたちを確認できない?)


 いったい、このテント中はどうなってるのかを、リスクを冒してでも確認する必要があると思い、テントの正面に回って中を覗こうとした瞬間、肩に手を充てられ呼び止められた。


「おい、何を覗き見しようと抜け駆けをしている」

「!?」

「ん? アルフォンスではないのか? 貴様はどこのクラスの者だ? ここはSクラスの拠点だぞ」

「へっ、用を足してテントに戻るところでした」

「なんだ、寝惚けてるのか。そこはお前のテントではない。自分のテントへ戻るがよい」

「はい、申し訳ありませんでした」


 あと少しというところで小僧に気づかれて、テントの中を確認することができずに、その場を去ることしかできなかったのだ……。


※アリスのテントを覗こうとしたリオネルによって、テントの秘密が漏れることはなかった。そしてリオネルも、声を発したことでアルフォンスに気づかれて、覗きは未遂に終わった。


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