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第26話 アリスの決意

 私が拒絶を唱えると、ゼシカとマリアンヌの意識は回復した。2人は呪魂の首輪を嵌められると同時に意識を失ったので、現状を把握できずに『キョトン』として、知ってる限りのことを説明したの。2人は悔しそうに『何もできずに情けない』なんて言っていたけど、私ですら意識を保ちきれなかったのだから『仕方ない』と慰めた。


 そして、今回の襲撃にあった3人が回復したことで、ユーザニア大聖堂からルミナスの森へ帰ることにした。帰る前に七神女神様たちへ、不甲斐ない姿を見せたこと謝罪をする。


「ルミナス神を名乗りながら、早速ヤラカシちゃってご迷惑をおかけしました」


 七神女神像に謝罪の意を伝えると、私の周囲を金色の光が包み込み光の回廊が現れた。その様子を見て『懐かしい』と思いながら回廊を進んでいくと、あの時と同じように七神女神様たちが迎えてくれた。ただ、前回と違って七神女神様たちは片膝をついていたの。


『アリスさん、いいえルミナス神アリス様、貴女が来るのをお待ちしてました』

「はっ? えっ?」

『あははっ』


 予想外の出迎えに思わず変な声が出てしまった。その声を聞いた七神女神様たちから笑い声が聞こえてくると、ローゼ様が頭を『ポリポリ』と掻きながら口を開いた。


『なぁ、これまで通りで良いんじゃないか? アリスが困った顔をしてるじゃないか』

『ふふっ、そうね。説明もなしにこの接し方だと戸惑うのは突然ね。でも、名を呼ぶ時は『様』を付けるのは忘れてはダメよ?』

「あの……、シエル様? できれば『様』なんて付けないでこれまで通りにお願いします」

『そういう訳にもいかないのよね。取り敢えず事情を説明するので聞いてくださいね』

「はい……」


 そこからは、シエル様が丁寧に説明をしてくれた。前に古龍エンシェントドラゴンだったディアボロスを討伐した時に、龍玉を手に入れ吸収したことで現人龍神に昇華したの。その時に神としての格は七神女神様を上回ったとか並列思考セラフィムが言ってたけど、大袈裟に言ってると思っていたら本当のことだったみたい。今回、邪神ジャミアの呪魂によってかなり危険な状態になったけど、七神女神様たちの力ではどうすることもできなかったらしい。私が拒絶を使って呪魂を打ち消したことにより、私を上位の神と認めて女神としての役割を終えようと決めたらしい。


(えっと……、神って自分の意思で辞めれるの?)


 女神を辞めると言っても簡単には理解が追いつかなかった。そんな私に気づいたシエル様は『フフッ』と笑みを浮かべながら口を開く。


『今この瞬間に女神を辞める訳じゃないの。アリス様のことだからジャミアを葬り去るのですよね?』

「はい、アイツは許せません! サツキさんたちにしたことを含めて、アイツの存在だけは認められません」

『ジャミアを葬った後は、その拒絶の力を使って私たちを女神から解放して欲しいの』


 その言葉の後にシエル様が頭を下げると、続いて残りの女神様たちも頭を下げた。ジャミアにより一時的に創造された女神様たちは、神としてはそれぞれが力不足なのは理解できるし、悩み抜いた結果の答えなのなら尊重してあげたいと思った。


「判りました。ジャミアを倒した後は私が世界の神として君臨して、自分好みの世界にしちゃいますね!」

『『ありがとうございます』』


 私はこの世界の唯一神となることを決意したの。



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