§アネモネ視点§
アリスさんの従者たちが私たちの元へやって来て、呪魂からの解放を願い祈りを捧げた。七神女神全員で力を合わせて解呪を試みたけど、打ち消すことはできなかった……。ジャミアがアリスさんに仕掛けてくるのは想定通りだったけど、ここまで力を取り戻しているとは思ってもいなかった。
(復活したばかりなのに、既に私たちを遥かに上回っているなん、どうすれば良いのよ……)
サツキさんが居たから対抗できていただけで、七神女神だけではここまで無力だったのかと絶望しながら、従者たちに救えないこと伝えたのだった。
「そんな……、このままではアリス様は……」
1人の女性が泣きながら言葉を発すると、力強い男性の声が言葉を打ち消した。
「弱気になってはいけませんよ! 確かに七神女神への祈りを捧げましたが、私たちの信じる神はルミナス神アリス様です。今は私たちの信仰が試される時、皆でアリス様の復活を信じるのです。ルーミナス!」
「「ルーミナス!」」
従者たちは七神女神像ではなく、未だに気を失っているアリスさんを囲んで祈りを捧げる。ここで奇跡を起こして復活を遂げれば、私は女神としての役目を終えることができると思い、ルミナス神アリスさんに対して祈りを捧げた。残り6人の女神たちも続くように祈りを捧げていると、『んっ……』とアリスさんの口から声がこぼれ呪魂の首輪が消滅した。そのことに気づいた全員が一斉に声を上げた。
「「アリス様!」」
『アリスさん!』
全員の声が届いたのか? アリスさんはゆっくりと瞼を開くと、いつものように明るい笑顔を見せながら口を開いた。
「へへっ、心配かけちゃったね。ジャミアの呪魂は拒絶したからもう大丈夫だよ!」
「「アリス様っ!」」
目の前のアリスさんは、苦悶の表情で気を失っていたのが嘘のように『ケロッ』としている。七神女神全ての力を注いでも打ち消せなかったジャミアの呪魂を、打ち消すだけではなく与えられていたダメージすら無かったことにするなんて、神話級スキルの拒絶の力は計り知れない。ただ、このスキルがあればジャミアを確実に葬れると思い、そのことをアリスさんに伝えようとすると、周りを『キョロキョロ』しながら未だに意識を失っている2人を見つけて近づいた。
「ごめん。直ぐに楽にしてあげるからね。私は呪魂の存在を拒絶する」
アリスさんが拒絶を唱えると、2人の首に嵌められていた呪魂の首輪は消滅する。青褪めていた顔が少しずつもとに戻っていくと、『うっ』と声を発したあとに目を開け意識が回復したのだった。