「もしかしてあいつが……」
私は近衛騎士団の隊長を務めているセレスだ。
王子同士の対戦魔法を観戦しに行ったのだが、想像以上の試合だった。
アデル殿下もかなり優秀な人物だと噂になっていたので、勝つのはアデル王子だろうと予想していたが……。
「まさか上級魔法を発動し、アデル王子を負かすとは」
私はロランの対戦を見て、そう呟く。
そしてロランの対戦を見ていた貴族達は皆、驚きと興奮が入り混じった表情をしていた。
しかし私は別の事が気になっている。
それは……《火槍》だ。
あの技は、私が一度対戦した『仮面の男』が使用した技だ。
しかしその技をロランはさも当たり前かのように発動させたのだ。
「もしロラン王子が『仮面の男』なら、あの最上級魔法も知っているのか」
昔、私の父からある話を聞いたことがあった。
私の父とは陛下から勇爵の称号を国王陛下直々に送られている人物、過去に王国を魔物の軍勢から救った救世主であり勇者と呼ばれていた人だ。
そして父と共に戦ったのが『火の賢者』だった。
「だがなぜ最上級魔法をロランが使えるんだ?」
私はつい声に出して疑問を呟いてしまう。
最上級魔法は炎書という魔法書を使わなければ、覚えることが出来ないと聞いている。
炎書の他にも、水書、雷書など様々な魔法書があると聞く。
だがそれらの魔法書は各国に一冊あるかないか、という貴重な物なのだ。
そして現在、炎書の行方は分かっていないと聞く。
「全く、ロランが『仮面の男』だったなんて」
私は少し笑いながらそう呟く。
あの時は名前すら教えてもらえなかったが、第一王子だったとはな。
「ロラン、私は君に興味が湧いてしまったよ」
私はロランの事がもっと知りたい、そう思うのだった。