「ロ、ロラン師匠! どこですか?」
私は今、ロラン師匠を探している。
先ほど『緊急会議に呼ばれた』と言っていたので王城に行っていると思うのだが、時間も経ってるし、もう会議は終わっているはずだ。
なのにロラン師匠が一向に帰ってこない。
(もしかして何かあったんじゃ……)
そんな不安な気持ちが私を襲う。
「だけど私、王城に入れないし……」
流石に私が勝手に城に入ろうとすると、兵士の方に取り押さえられかねない。
いつもロラン師匠とは屋敷で会っているし、城に入る機会なんて滅多にない。
そんなことを考えながら門の近くをウロウロとしていると、聞き覚えのある声が私の耳に入ってきた。
「クレハさん?」
ふと顔を上げて声の主を探してみると、そこにはロラン師匠の妹、リアがいた。
「リア! ロラン師匠がどこにいるか知っていますか?」
私はそう尋ねる。
するとリアは、少し考えるような仕草をしてすぐに口を開いた。
「私もあまり分からないのですが……アルバラン王国に向かったと聞きました」
「アルバラン王国?」
「じ、実は、アルバラン王国は魔王軍に攻められ、陥落寸前なんです」
「え!?」
私は思わず声を漏らす。
アルバラン王国が陥落寸前、それは少なからず衝撃的な情報だった。
「私は今から屋敷に戻ろうと思うんですけど、クレハさんも来ませんか? 情報を共有した方が良いと思うんです」
確かにリアの言う通りだ。
私もアルバラン王国に行ってロラン師匠と一緒に戦いたい。
だが、今の情報の量だとアルバラン王国に行っても足でまといになってしまうだろう。
「はい、私も一緒に行きます」
私がそう言うと、リアは微笑んで頷く。
そうして私達は情報を共有すべく、屋敷に向かうのだった。