いや、このドローンすごいなほんと。
道無き道を進み続けるおれたちに付かず離れずの距離で飛行している。生い茂る植物の合間を縫い、常におれたちを撮影し続けるのは機械ながらに匠の技を感じた。
一つ気になるのは戦闘になってからだ。
激しい動作をしていてもきちんと撮り続けることができるんだろうか。
「ちょっと、待ったぁ!」
「え?」
叫び声に振り向いた。
アオイさんがものすごい形相でおれを睨んでいた。肩を上下させながら、玉粒上の汗を顔にいくつも浮かんでいる。映画か何かでしか見たこともないような迫力満載の息も絶え絶えな姿。思わず感心してしまった。
いや、よくまぁ、こうなる前に音を上げなかったもんだ。
「大丈夫か?」
「みりゃ、わかんでしょっ!」
「ああ、大丈夫なんだな」
「ちが…ぎゃ、逆よっ逆っ!」
逆?
それにしちゃ、ずいぶん元気そうなんだけど。
そう言いたかったが背後の二人はもっと洒落になってなかったのでやめた。どっちも四つん這いになって動けなくなっている。
うん、頃合いだな。
「そろそろ休憩にしようか」
「遅、すぎ…っ!」
かろうじて立っていたアオイさんが倒れ込んだ。
仰向けのまま大の字になっているが、目は死んでない。というか、視線だけでおれを殺せそうなほど殺意に漲っている。
うん、まだ大丈夫そうだ。
「みんなやっぱり体力あるね。ダンジョン慣れした人も初日でここまで来れる人はいないと思うよ」
「……お、み」
「ん? どうしたの、シズクさん?」
「…お、みず」
「はい、どうぞ」
持ってきた水筒を渡す。がぶ飲みしようとしたが、すぐに落ち着いて口に含むようにちょっとずつ飲んでいる。うん、やっぱり慣れてる。ここまで肉体を酷使した状態では一気に飲むと胃にダメージが入る恐れあがある。ここまでの道中で中身を吐き出していないから、下手すればそれを呼び水に全て戻してしまう可能性もあるのだ。
彼女はそれを自分で理解して実践している。
「やっぱり、最近の子はかなり走りこんでるみたいだね。うん、素晴らしい」
「おにー、さんの、方は全然、平気、そ、う」
「そりゃ、昔地獄を見たからね。それに比べりゃこれくらい平気ってだけの話さ」
それでも随分衰えた気がする。
体力面においても、彼女たちが音を上げる前に峠は越したかった。スマホの地図機能を起動。自分たちのいる位置を見て、
まぁ、それは彼女たちに言う必要はないだろう。
「…こんなとこ、本当に、通ってるの、よね?」
「あれ、DTUBEで見たことない? ほら、ここら辺の植物、サムネイルに映ってたりしてるよ?」
「…植物、見たって、違いなんて、わかんない」
「見慣れてくるさ。じゃないと遭難しちゃうかもね」
シズクさんは顔を真っ青にして押し黙った。
別にビビらせるつもりはなかったが、実際、周囲の風景に違和感を感じないようじゃ、ダンジョンでは苦労させられるのだ。
三人とも未だに這いつくばったまま動けないようだ。
「…ていうか、さ」
「んー?」
「なんで、あんた、さっきから、キョロキョロしてんの?」
お、さすがにアオイちゃんは気づいたか。
「
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