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第35話 立川チョーチューのファンとユン その2

羽衣いちょう通りを全速力で走りながら、ユンとファンはオ・コウテツに状況を聞いた。


「何で拉致られたんだ!?」

「は、はい!5人で立川駅近くの喫茶店でたむろしてたら・・・・・・」


殴られたのであろう、顔がボコボコになっているコウテツは、痛いのを我慢しながらその時の状況を説明し始めた。



数十分前 立川駅前付近 喫茶店内


ギャハハハハ!

店内にチョーチュー生5人の馬鹿笑いが響く。

周りの客、OL風やサラリーマンなどは、迷惑そうだが、相手が天下のチョーチュー生なので、何も言えないで黙っていた。

そんな夕方の至福の時、それは突然現れた・・・・・・。


ドン!


喫茶店の扉が勢いよく開く。

いや、蹴られた事により、思いっきりどころか激しく開き。ドアにつけられていた色のついたガラスは無残にも粉々になってしまった。

店内の客が一斉にそのドアの方を見る。

チューチュー生5人もその音のした扉を見た。


「!!」


チョーチュー生5人は、その開いた扉から現れた人物を見て驚いた。


(立川二中だ)


正式名称は「立川市立立川第二中学校」。

立川駅周辺の学校でチョーチューとタメを張れる唯一の中学校であり、毎日のようにチョーチュー生と抗争を繰り広げている学校でもある。


「おやおや、こんな所に焼肉くせーのがいると思ったら、チョンチューさんですか」


扉からぞろぞろと二中のワルたちが店内に入ってきた。

人数からして約10名。

各々、リーゼントやオールバック、パンチに坊主と多種多様な髪型でキメてきていた。


「誰がチョンチューじゃこらぁ!」


「チョンチュー」と言う言葉が合図になり、チョーチュー5人が店内の二中の面々に飛び掛かった。


ドガン!

ガシャン!

バキィーン!


店内はあっという間に、お決まりの地獄絵図と化した。

激しい音を立てながら、割れるコップや食器。

凹むテーブル。

お互い、フォークやナイフもお構いなく投げる。

それが、周辺にいた店員や客に当たる。

大慌てて店内から逃げる客。

喧嘩を止めようとする60代のヒゲの生えた店長。

その乱闘は、10分ほど続いた・・・・・・。



話は、羽衣いちょう通りを走る、3人戻る・・・・・・。


「それで!?」

「はい。俺たちも善戦したんですが、二中の奴らが人数が多いのと武器を持ってたせいで、途中から奴らにフクロに・・・・・・」

「それでセンが連れていかれたのか!?」

「はい、止めようとしたんですが、奴らの仲間に阻まれどうする事も出来ず。すいません」

「あやまるな!大丈夫だ!」

「ソンベ・・・・・・」

「俺たちがチョーチュー魂って奴を二中のボンクラどもに見せつけてやる」


ユンの顔に気合が入った。

ファンも同様、体の奥から湧き上がる魂の様なものを感じた。

久々に熱くなれそうだ。

そういう声が聞こえてきそうな二人だった。


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