立川市立立川第二中学校 校庭内
二中の校庭内には15人の番長格グループが陣取り、チョーチューが反撃しにここに来るのを今か今かと待っていた。
二中は、校内の番長グループだけでなく、周辺の中学の番長グループにも声をかけて「対朝鮮」包囲網を仕掛けようとしていた。
「何人くると思う?」
この立川番長連合の総長である立川二中の3年・馬淵が子分の同じく二中の3年・石坂に聞いた。
「どうっすかね。何人来ようと、立川周辺の番長たちを集めてきたんで問題ないっすけどね」
石坂が答える。
石坂は、そこまで腕っぷしが強い方ではないが、頭がそこそこ切れるので、作戦参謀として二中の番長グループたちから可愛がられていた。
今回の作戦や連合構想も、石坂が考案し、周辺の中学まで1人で赴き、連合実現の為に1人東西奔走して実現させたものだった。
なので、それが実現して作戦が実行された今日、石坂は自分の仕事の達成感に感慨無量になっていた。
「チョンはまだか?もう30分もまってんぞ!」
三中の番長、盛岡が怒る。
校内には立川番長連合15人が武器などを持参して集まっていた。
どれも、腕っぷしに自信があり、その腕っぷしだけで地元の中学の番長にまで上り詰めた男達であった。
その遠く後ろには、それを戦々恐々と眺めている二中の学生たちや教師であった。
番長グループは、中々チョンチューが攻めてこないので、だんだんイライラしてきて下校する学生を脅したりして暇をつぶしたりしていた。
そんな時、正門前でチュンチューが来るのを張っていた二中二年の東濵が大声をあげた。
「来ました!チョンチューです!」
にわかに番長グループがざわつきはじめる。
(ついにきたか)
立川六中の番長・早田は、座っていたイスから飛び上がるがごとく立ち上がった。
二中の番長含め不良学生たちは、センとかいうチョンチューの奴をおとりにして、長きに渡った、立川での朝鮮人との抗争の決着をつけるつもりでいた。
番長グループ15名+1人(石坂)たちは、内心不安でいっぱいだった。
チョンチューが全校生徒あげて学校に乗り込んでくるのではないかと。
やつらの団結力を今まで嫌というほど味わってきていた立川の不良たちは、今回の決闘での最大の不安要素が「チョンチューがどれくらいの人数でカチこんでくるか?」それ1点のみにあった。
もちろん、それに備えて、校内にはいないが、立川番長連合の配下50名が立川二中近隣に隠れるように配置されていて、合図があったらいつでも、二中校内になだれ込むという算段ではあった。
だが、到着したのは、たった3人。
チョーチューの
ユン・ケンホウと
ファン・シュウスケ。
そして、チョーチュー2年のオ・コウテツそれのみだった・・・・・・。