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……かお、あかいよ?

「おっはようございま〜す!」

ララが投稿中の周囲の生徒たちに声をかけまくる。

大半の生徒は相手がララであると気づくとそれに返事をしてくれる。

女神であることと小さいこととが両方ララにとっては得であるようで、みんな女神さまと言いつつも頭を撫でたり持ち上げたりして楽しそうにしている。

「にへへぇ、みんなやさしいね」

「……」

満足そうにしているララと対照的に、俺のところには誰ひとりやってこないので少し不満である。

まぁ? 俺は女神のチカラのカケラも持ってないわけだし? ララのお付きをしてるだけのただの一般人みたいなもんですよ?

でもさぁ! この流れるような金髪を見て誰も振り向かないわけ? もっとこう……きゃあきゃあ言われるようなパラダイスを想像したわけよ。

「かっこいい……」

そうそうこういう……って、もしかしてそれは、俺に言ってるのか?

振り返ってみると、目を輝かせながら俺を見る少女がひとり。

「い、今なんて?」

「は、はわわっ! き、きこえちゃいましたぁ……?」

慌てて口許を隠して少女は赤面する。

「い、いやその……」

「な、なんでもないですからっ!」

そう言うと少女は足早に去っていってしまった。

「な……なんだ今のかわいい子は……」

かっこいいなんて言われちゃうと、ドキドキしてしまう。クラスはひとつしかないからまた会えるだろうか……。



学校へついた俺たちは、教室に入ると適当な席に座った。

そしてそれとなく周囲を見回しさっきの女の子を探してみる。

……後ろの方の席に彼女は居た、が、目が合った。まるで彼女はずっとこちらを見ていたかのように。

「ま、まじか……」

ゾッコンラブ……ってコト!?

「どしたの?」

「い、いや……」

「……かお、あかいよ? かぜ?」

「いやいやいや! 風邪なんかじゃない……はず」

「せんぱーい」

ララがどこかに向けて呼びかけると、すぐさまリアンが飛んできた。

「おはよう、ララ。私を呼んだか?」

「おはようございまぁす。あのね、おにいちゃんがかぜかもしれないの」

「本当か? ……む、確かに顔が赤いな」

「違いますから!」

「否定するところを見ると益々怪しいな。強がらなくてもいいんだぞ? どれ、医務室に……」

「いいんですって! ね! ほらもう赤み引いてる!」

「む……本当だ。じゃあ気のせいだったのか?」

「そうそう! なんでもないっすから!」

すごく世話焼きな人だほんとに。

ちらりとさっきの少女の方を見ると、まだこちらを見ているようだった。

あまり見ているとまた顔が赤くなってしまいそうだったからすぐに顔を背けた。



授業を終えて放課後、俺とララは風紀委員室を訪れていた。

「別に毎日来てくれる必要は無いんだぞ?」

「いえ! 風紀委員の活動を通して学園のことを知れるかと思いまして!」

「殊勝な心がけだな! ならばよし!」

「……それに、エリンに借りもあるしな」

「……ふんっ!」

「なんかあったのか?」

「なんでもないですよこの男とは!」

「ははっ。そうかそうか」

「じゃあ俺たちは何から始めましょうか?」

「勢いを削ぐようで悪いが、そんなに急ぐほどやることはないんだ。校内を見て回り異常がないか確かめるくらいだな」

「みんなでおさんぽ?」

「それもいいが、この人数で練り歩いたら却って迷惑になる。ここはチーム分けをすべきだな」

「あ、じゃあ俺はララとってことっすね」

「……いや。君はエリンと行ってもらう」

「えぇっ!?」

俺とエリンは揃って声を上げてしまう。

「ま、真似するな!」

「真似してねぇけど……」

「あたしはどうなるの?」

「ララは私と行くんだ」

「ちょ、ちょっと待ってくださいよ! 先輩! なんで私たちを一緒にするんですか!」

「メンバー同士でいがみ合っていてはもしもの時に活動に支障を来すだろう? そうなっては困るから親睦を深めてもらいたいんだ。これは好みの問題じゃない。ソーシャルなコミュニティにおけるオーガナイズのほにゃほにゃ……」

「わかりましたよっ! ……ほら、行くぞ」

まだエリンとの距離感は掴めていないが……こいつもそんな様子なんだよな。

あまり突き放さずに、かつ近づきすぎないように仲良くなってくしかないか。

「おい、何をしてる? 仕事を任された以上怠慢は許さないぞ」

「あーはいはい! 行きます行きます! ……じゃあララ、お前も頑張れよ」

「……うん!」

リアンとふたりになってしまうので少し緊張したような感じだが、まぁ仕方ない。俺がいない状況にも慣れてもらわなきゃならないからな。

ララは気になるが、また怒らせてはいけないのでエリンを追って風紀委員室を出た。

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