「おはよ、リオ。体調どうだ?」
リオは「イテテテ」と頭を押さえている。二日酔いというやつらしい。
「……うーん、頭痛くて、ちょっと気持ち悪いです。――ところで、昨日ってどんな話しましたっけ」
「なっ、なに? もしかして、昨日のこと忘れてんのか!?」
「ああ……酒を飲むと記憶を無くす人が一定数いるみたい。リオは多分それだね」
頭を押さえながら、しかめっ面でリオが天井を見上げる。昨日のことを思い出しているのだろう。
「まず、牛タンっての食べたでしょ、それからミツキさんが来て、そしてビールってので乾杯して、えーと……それから、なんでしたっけ?」
「――まさか、そこから憶えてないのか? ってことは、地球侵略なんて言ったことも憶えてないってことだよな」
「レ、レクトくん……悪い冗談はやめましょうよ。サリアさん、いくらなんでも、そんなこと言ってないですよね、僕?」
私がゆっくりと首を横にふると、リオは「嘘だーーー!」と大声を上げた。
***
二日酔いで起き上がれないリオを置いて、私とレクトはリサイクルショップ店とやらに向かった。狙いのメインは自転車と炊飯器だ。
「その店までどれくらい掛かるんだ?」
「うーん、歩いて45分ってとこかな」
私の返答にレクトは「げっ!」と声を上げた。だが帰りはラクなはずだ。だって、私たちは自転車を手に入れるのだから。
「それにしても、ミツキさんとハルキさん、ほんと良い人たちだよな。俺たち、ヴェルミラにいたころは、こんな親切にされたこと無かったじゃん。――そうそう、リオの奴、いいアイデア見つけてくれるといいけどな」
家を出る前、私たちはリオに
「まあ、今日のリオには期待しないほうがいいんじゃない? まだ気持ち悪そうだったし。にしてもさ、リオの酔い方もなかなかだったけど、酔っ払ったミツキも面白かったな」
「ハハハ、確かに! なんか、可愛いんだよな……あの人は何しても」
昨日を思い出しているのか、ニヤニヤしながらレクトは言う。
「――もしかして、本気で好きになったなんて事ないよね?」
「さあ、どうだろ。そういうの、あんまり考えないようにしてる。――いつものことだけど、自然体で過ごすよ俺は」
「でもさ、万一……万一だよ? ミツキがレクトを好きになったりしたら、それは罪なことだぞ」
「――は? その心配をしなきゃいけないのは、圧倒的にサリア、お前の方だぞ?」
わ、私が……?
それって、ハルキの事なのか?