「ぼっ……僕の友だちに手を出すなっ!!」
「な、何を言ってるリオ!! サリアはセレスタを消滅させたんだぞ!! セレスタが無ければお前たちは――」
「黙れっ!!」
リオが叫ぶと爆風が放たれた。リオの周囲数メートルの芝生が、一瞬で発火し灰となる。私たちの元へも、激しい熱風が襲いかかってきた。
「おっ、落ち着けリオ! と、とりあえず落ち着くんだ!」
アレンが……怯えている……?
リオは一体、どんな表情をしているのだろう。この場所からはリオの後ろ姿しか見えない。
「ど、どちらにしても、この話は終わりだ。俺の宇宙船では全員を乗せることが出来ない。お前たちは自らの手で、帰るすべを失ったということだ」
アレンはそう言うと、宇宙船のハッチを開け乗り込んだ。
「最後にいいか……無理矢理に連れて帰ってでも、お前たちを死なせたくなかった。それだけは憶えておいてくれ。――以上だ」
宇宙船のハッチが静かに閉じると、アレンの宇宙船はワープをして消えた。
「リオ、大丈夫か……?」
レクトの肩につかまり、私たちはリオの元へと歩み寄った。
「は、はい、僕なら大丈夫です。それより、サリアさんは……」
「私も、なんとか平気。ヴェルミラの服じゃなかったら、内臓がグチャグチャになってたかもしれないけど。――それより、セレスタを消しちゃったのはまずかったのかな……」
「何を言ってるんだ。アレンがどこまで本気だったのかは分からんが、あんなことを言われたら俺だって止める。サリアは何も間違ってない、気にするな」
「レクトくんの言うとおりです。――それにしても、兄さんがあんな強硬手段に出るなんて……その上、サリアさんにまで手を上げて……」
灰になった芝生の上で、私たちは呆然と立ち尽くした。
***
自転車の後席で、なんとかレクトに掴まりながら家へと帰ってきた。痛みが増し続ける体で布団に潜り込むと、あっという間に眠りに落ちた。
そして、今の時間は十九時を過ぎたところ。半日以上、眠り続けていたようだ。
「――ごめん、今日は私が料理担当の日なのに」
キッチンを兼ねたリビングに降りると、レクトが夕食を作ってくれていた。
「なに言ってんだ、困った時はお互い様だろ。どうだ? 回復出来たか?」
寝る前に、ヴェルミラ製の治療薬を飲んでおいた。大方の不具合はこれで治ってしまう。
「うん、おかげさまで良い感じ。もう痛みはほとんど無い」
「それは良かったです。はい、まずはサラダ。あとは焼いたお肉を持ってきます。今日は簡単に済ませましょう」
リオが手際よく、皿をテーブルに並べていく。
私たちはあと何度、こうやって一緒に食事を取れるのだろうか。