「ふう、やっと到着したか……ん? アレン、宇宙船は……?」
「ここに置きっぱなしにするわけにもいかんだろう。セレスタの時と同様、海底に潜ませてある」
ここは、初めてセレスタで地球に降り立った時の広場。この場所に来るのは、もうこれで三度目になる。
「――着いてすぐで申し訳ないが、先にアブソルヴェールを見せておこうか。いつ奴らが現れるか分からんからな」
ミレルはそう言って、右手を天に向けた。
ブゥン……という低音と共に、薄いガラスのような層が現れる。それは、
「おっ、おーーーすげえ! 先生、これはアブソルヴェールの内側にいるってことなのか?」
「そうだ。薄っすらと見えるグリーンの層がアブソルヴェールの境界だ。誰か、一度外に出てみてくれるか」
ミレルが言うと、一番端にいたリオがグリーンの層の外に出た。
「ああっ! 外に出ると、グリーンの層が見えません! アブソルヴェールは内側からしか見えないんですね」
「そのとおりだ。――そうだ、リオ。一度試しに撃ってみな、本気のクライメアを」
そう言われた瞬間、リオの顔が硬直した。子どもの時も、先日の事も、リオは意図してクライメアを発動させたわけではない。撃てるかどうか自信がないのか、リオはその場で立ち尽くしてしまった。
「リオ! このあいだのように本気になってみろ! 先生のアブソルヴェールを信じて撃ち込んでこい!!」
アレンが言うと、リオは右手首を左手で掴み、手のひらをこちらに向けた。
見たことのない険しい表情……リオは本気だ……
「ク……クライメアっ!!」
リオが叫んだ直後、手のひらから勢いよく豪炎が噴射された。ゴゴゴゴ……という大音響と共に、アブソルヴェールをビリビリと振動させていく。私は思わず両腕で顔を覆ったが、それでも視界は炎で真っ赤に染まっていた。
「凄いじゃないかリオ。アブソルヴェールを振動させるなんて大したもんだ。文句なしの合格だよ」
ミレルはそう言い、アブソルヴェールを解いた。アブソルヴェールの外側だった部分は、円形状に芝生が燃え尽きている。
「せ……先生が言っていたように、本当に俺のクライメアを超えたのかもしれんな……リオにこんな力が閉じ込められていたとは……」
「落ち込むことはないよ、アレン。お前はクライメアだけじゃなく、
クライメアを放ったリオは、自分の手のひらをいつまでも眺めていた。