目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

ep47:アレスレイ

「や、やりましたね兄さん! グリムを追い払いましたよ!」


「あ、ああ……このまま俺たちに目を向け続けてくれればいいんだが……」


「どっ、どういう意味だ、アレン……?」


「俺たちを倒すのは困難だとなった場合、レヴァナントはワープをして他のエリアから攻める可能性がある。そうなると、追跡出来たとしても厄介なことになるのは間違いない」


 私たちには、アレンが乗ってきた宇宙船ノクシアしかない。ノクシアは乗船定員が三名な上、レヴァナントに太刀打ちできる装備は持ち合わせていない。


「——いや。向こうはまだ、やる気のようだよ。見てごらん」


 ミレルがレヴァナントの船底を指差して言う。ゆっくりと開いていくハッチの奥から、大きな砲塔が顔を覗かせた。


「アっ、アレスレイ対地上レーザーを使うのかっ!? レクト、周辺に防御壁を!! ミレル先生は、最大級のアブソルヴェールを!!」


 アレンが言った直後、辺り一面が真っ白になるほどのレーザーが放たれた。


 耳をつんざく轟音とともに、アブソルヴェールの壁が激しい振動を伝えてくる。ミレルが「ううっ」と声を上げると、レクトはミレルの右腕を支えた。


 アレスレイが放たれていたのは、ほんの数秒の出来事だったのかもしれない。だが、アブソルヴェールの中にいる私たちには、永遠の時のように感じた。


「た、耐えたのか……?」


「今のは流石に堪えたね……もう一度撃たれたら、次は耐えられないだろうね……」


 ミレルは「はあはあ」と深く呼吸をしながら、そう言った。


「先生、それは大丈夫です。レヴァナント艦は今のでかなりの量術を消耗したはずです。当分、アレスレイを撃てないし、ワープも出来る状態ではないはずです。かえって、良い状況になったかもしれません」


「にしても、俺が作った鋼鉄の防御壁も溶けちまったのか……なんて威力だ……」


 アブソルヴェールより外の地面は大きくえぐられ、深い穴が出来ていた。周辺は防御壁などが燃え尽きた塵埃じんあいのせいか、濃い煙が漂っている。こちらからレヴァナント艦が見えないということは、向こうからも認識できていないはずだ。


「レクト、えぐられた地面をジェネヴィオンで埋めてくれるか。出来るだけ、頑丈なやつを頼む」


「了解だ、アレン」


 レクトが地面をジェネヴィオンで埋めた後も、煙は漂い続けている。この煙の上空に、レヴァナントはまだいるのだろうか……? そんな思いで空を睨み続けていると、レクトが声を上げた。


「ハ、ハルキさん……!? ミっ、ミツキさんも!! どっ、どうしてここに!?」


 レクトの視線の先に目を移すと、ハルキとミツキがこちらに向かって歩いてきていた。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?