「や、やりましたね兄さん! グリムを追い払いましたよ!」
「あ、ああ……このまま俺たちに目を向け続けてくれればいいんだが……」
「どっ、どういう意味だ、アレン……?」
「俺たちを倒すのは困難だとなった場合、レヴァナントはワープをして他のエリアから攻める可能性がある。そうなると、追跡出来たとしても厄介なことになるのは間違いない」
私たちには、アレンが乗ってきた宇宙船ノクシアしかない。ノクシアは乗船定員が三名な上、レヴァナントに太刀打ちできる装備は持ち合わせていない。
「——いや。向こうはまだ、やる気のようだよ。見てごらん」
ミレルがレヴァナントの船底を指差して言う。ゆっくりと開いていくハッチの奥から、大きな砲塔が顔を覗かせた。
「アっ、
アレンが言った直後、辺り一面が真っ白になるほどのレーザーが放たれた。
耳をつんざく轟音とともに、アブソルヴェールの壁が激しい振動を伝えてくる。ミレルが「ううっ」と声を上げると、レクトはミレルの右腕を支えた。
アレスレイが放たれていたのは、ほんの数秒の出来事だったのかもしれない。だが、アブソルヴェールの中にいる私たちには、永遠の時のように感じた。
「た、耐えたのか……?」
「今のは流石に堪えたね……もう一度撃たれたら、次は耐えられないだろうね……」
ミレルは「はあはあ」と深く呼吸をしながら、そう言った。
「先生、それは大丈夫です。レヴァナント艦は今のでかなりの量術を消耗したはずです。当分、アレスレイを撃てないし、ワープも出来る状態ではないはずです。かえって、良い状況になったかもしれません」
「にしても、俺が作った鋼鉄の防御壁も溶けちまったのか……なんて威力だ……」
アブソルヴェールより外の地面は大きくえぐられ、深い穴が出来ていた。周辺は防御壁などが燃え尽きた
「レクト、えぐられた地面をジェネヴィオンで埋めてくれるか。出来るだけ、頑丈なやつを頼む」
「了解だ、アレン」
レクトが地面をジェネヴィオンで埋めた後も、煙は漂い続けている。この煙の上空に、レヴァナントはまだいるのだろうか……? そんな思いで空を睨み続けていると、レクトが声を上げた。
「ハ、ハルキさん……!? ミっ、ミツキさんも!! どっ、どうしてここに!?」
レクトの視線の先に目を移すと、ハルキとミツキがこちらに向かって歩いてきていた。