「空気が澄んできたね……レクト、削れた地面をジェネヴィオンで埋めてくれるかい。とびっきり頑丈なやつをね。そして、地球のお二人は私から離れるんじゃないよ」
少しずつ、レヴァナント艦とレクトが生成した壁が姿を現しはじめた。
「先生、レクトが生成した壁は、レクトが消す以外は存在し続けるんですか?」
「壁の強さを上回る攻撃なら、壁を破壊することは出来る。それは物理的にでも、量術どちらであってもだ。レクトが壁を生成し続けている場合は、破壊されるたびに修復が繰り返されるイメージだけどね」
「先生の言うとおりだアレン。さっきのルクスの一斉攻撃の時は、生成し続けていたからな。――かなり疲れちゃったけど」
これだけの巨大な壁だ、疲れてしまって当然だ。レクト同様、ミレル先生もかなり疲れているように見える。
「ほう……アレスレイでさえ防ぐというのか。とんでもないな、アブソルヴェールってやつは……」
ロウゲンからも私たちが見えるようになったのだろう。ロウゲンの声が、再び上空から響いた。
「ただ、アレスレイを撃ったことで、アブソルヴェールの中からは量術を使えないってことが分かった。――ほら見てみろ。何かの残骸が当たったのか、壁に穴が空いている。これは、相当不利なことじゃないのか?」
ロウゲンはそう言って笑った。確かに壁の中央に穴が空いている。レクトはすぐに壁を修復したが、すでに遅かった。
「では、こんな風に攻めたら、どちらを守るんだろうな? 見せてみろ、エルシアの民たちよ」
直後、グリムの編隊がレヴァナント艦から飛び出した。初回攻撃時の2倍はいるように見える。半分のグリムが急降下を始めると、残り半分はレクトが生成した壁に機首を向けた。
「レ、レクト!! 今はアブソルヴェールから出るな!!」
「じゃ、誰があの壁を守るんだよ!! 俺しか出来ないだろうが!!」
レクトは両手を広げて、ジェネヴィオンを再び唱えた。そのレクトに向かって、降下してきたグリムが照準を合わせる。
「やっ、やめろーーー!!」
リオはそう叫ぶと、レクトの前に立ちふさがりクライメアを乱射した。被弾したグリムは炎に包まれ、落下していく。だが、クライメアをすり抜けたグリムは、リオに
「うあああっ!!」
「リ、リオっ!!!」
ルクスが直撃したリオが地面に倒れ込む。アレンがすかさず、リオを助けに行ったが、そのアレンもルクスに撃ち抜かれた。
「お……お前たち、絶対に許さないっ!!」
グリムが上昇反転する前に、私もアブソルヴェールから飛び出していた。眼の前に迫った8機にイレイズを放つ。しかし、その後ろに隠れていた機体が私の左足にルクスを直撃させた。