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⒍自然現象妄想・軽視・称讃論

なぜかしらいつも闇夜の月って、ひやり


   冷たい感じでこっちを見てる気がしませんか。


でも昼の青い空に掛かる月は、じわり


   涙が滲んでいる目のようになるときがありますよ。


月は誰かの悲しみを見て、しんみり


   もらい涙をしているみたいです。


涙を垂らして海のどこかに、ぽたり


   落としたりするのでしょうか。


それは誰にも知られずに、きらり


   波間の向こうへ見えなくなってそうです。


涙の成分がいつか蒸発して、ふわり


   雲に混ざってるなんてこともありそうです。


やがて巡ってきた月に、ばったり


   再会なんかしたらどうするのでしょう。


月と雲の間には涙の巡り合わせがあって、てっきり


   いつもと違うことが起こりそうだと想像したのですが。


月と雲はいつまでも、だんまり


   何事も無かったように離れていくだけなのです。


自然は感情とは無縁の世界を、ぼんやり


   繰り返しているだけなんですね。


そういうわたしも、ぎくり


   何も自覚していないことを思い知らされます。


当然のことのように生きたわりに、さくり


   そのくらいの響きしかない薄っぺらな生き様が残るのでしょう。


薄さにこだわった毎日を、じっくり


   味わうことに全神経を使ってもかなわないです。


なにも報われるはずがないのにいつも、ぐるり


   地球は回ってくれているからありがたい。

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