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28.人生百年時代悲観・楽観・傍観論

誕生祝いも、何度目でしょう……。

回を重ねるたび、気が重いのですが……?

到来するらしいです、人生が百年の時代。

百、100、Ⅽ……

百グラム、百センチ、百ヘクタール、百デシベル、百シーベルト……

「百」の文字を書き並べて、崩壊しそうな気がします、ゲシュタルト。


百って、どうですか?

つらいですね、勤続百年、留年百年、入院百年、懲役百年……

生まれたことが、重罪だっておっしゃいますか?

納税だとか、納付だとか、そういう義務が服役ですって?

確かに、義務……服役の代わりのような気もします。

みんな、服役中はこの世界から出られないのですね。

悲観的世界は――牢獄?


百って、どうですか?

楽できそうですね、休暇百年、昇給百年、健康百年、潔白百年……

産んでもらえたことは、これ以上ない幸運なのですね?

与えられた寿命を見たことがないのに、伸び縮み、伸縮素材、フレキシブル……

都合良く伸びるだけにしてと思いつつ……

できるだけ長く生きたいのは、死なないことが生きることだと信じるしかないからですね。

楽観的生存は――惰性?


悲観してみると、人生の百年は量刑が終身刑?

あるいは、死刑の執行猶予期間と人生は同じ?

医療はほんの僅かな司法取引にあたるでしょうか。


楽観してみると、死ぬまでの人生だから、生きなくちゃなりません。

誰の祖先もみんな、首謀者だってことにしましょうか。

――有罪が前提になってますが……

とにかく、漏れなくみんな死んだからです。

そうすると、誰の子孫もみんな、共犯者だってことになります。

絶対みんな死ぬだろうから、遅かれ早かれ。

なんかホラーです……でも、みんなで生きれば、怖くない気もしませんか。

みんなが有罪なのは、みんなが無罪なのとどう違います?


単純ですが、必ずみんなが、何かのために生まれてきたって言えますし。

ただ、生きた心地がしなかったり、

死ぬ思いは、何度かするかもしれないですが――

その日その時、生き延びるのが精いっぱいで――

それでも、死ぬのはお一人さま一回限り。

誕生祝いは――何回……?

みんなの一回限りの人生で、誕生祝いを百回――

どうですか?

傍観的人生は、そんなに悪くはありません。

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