「早速デートしたんですか!?」
「女たらし! すけこまし!」
装備屋さんから直帰して。いつものようにアルーとミワと夕飯を食べていると……なぜか二人から責め立てられてしまう私だった。
「デートじゃないって。防具を買いに行っただけだって」
「それをデートと言うのよ!」
「完全にデートじゃないですか!」
「デートじゃないですね……」
なんでこの二人は四六時中オールタイムで頭ピンク色なのか……。私が呆れつつもお鍋を
「優菜! デートしましょう!」
「あー! ズルいですよ! 優菜さん! 私ともデートしましょう!」
「デートねぇ……?」
わざわざそんな変な言い方をしないで、普通にお出かけしたいって言えばいいのになぁと考える私だった。もぐもぐ。それならいつもやっているのに。もぐもぐ。
「そうと決まれば!」
いやまだ返事はしてないけど?
「どちらが先にデートをするか! 決めなければなりませんね!」
どっちともお出かけするんだから、どっちが先でも大して変わらないのでは? 直近だと土曜と日曜だろうから、一日違いでしかない。
というかアルーが休める日に合わせればいいだけでは?
「いざ!」
「尋常に!」
戦いを始めようとするアルーとミワ。それはまだいいとして、室内の魔力がなぁ。激しく動き始めたんだよなぁ。
こやつら、室内で魔法を使う気満々だ。ただのお出かけの順番決めに。
「――はいはい。暴れないの」
私が『パンパン』と手を打ち鳴らして仲介すると、激しく動いていた魔力は霧散した。
「どっちが先でもいいから、平和的に決めてね?」
「「はぁーい」」
仲良く手を上げて返事をした二人は、次の瞬間には『キッ』と睨み合い――いざ、尋常に、ジャンケンで勝敗を決することにしたようだ。
ちなみに見た目だけなら普通のジャンケンだけど、その裏では未来予測やら認識阻害やらの魔法が飛び交っている。もちろんジャンケンなんかに使っていい魔法ではない。真面目な魔法使いが見たら卒倒するんじゃないだろうか?
◇
とても盛大で下らない戦いの結果、アルーが勝者となったようだ。まぁ魔法の器用さではアルーの方が一枚上手なのかな。破壊力だけなら断然ミワなんだけど。
「というわけで、お出かけすることになったんですよ」
翌日のダンジョンで。ブルーシートに寝っ転がりながらユリィさんに報告する私だった。
「えーっと……なんか、ごめんね? ボクが誘ったせいで?」
疑問を浮かべつつ謝ってくるユリィさんだった。真面目だ。その真面目さの一割でもアルーとミワに分けて上げて欲しい。
「それじゃあ優菜はあの二人とデートするんだ? あんな美人さん二人と? やるねぇ」
「デートじゃないと思いますけど……」
「いやデートだよ。完全にデートだよ。認識してあげなよ可哀想だから」
なぜかお説教(?)されてしまう私だった。
「……デートと言えば」
お? なんか雰囲気が一気にどろっとしたものになったぞぉ?
「あの女とお母さん、今度お休みが一緒の日にお出かけすることになったって」
「あの女って」
ララートさんのことだよね?
「……それはデートなのでは?」
「デートではないですね」
即座に否定するユリィさんだった。なぜか敬語で。
「ま、まぁまぁ、ユニーさんにもユニーさんの人生がありますし」
「……それはそうだけど……」
「あと、ララートさんも一応は身元確かな人ですから。変な人ではないですから」
あ、いや、性格は変な人かもしれないけど。身分としてはちゃんとしているのだ。
「……優菜、あの女のこと知っているの?」
いやだからあの女って……。言い方ぁ……。
「国家保安省のお偉いさんで、アルーの上司ですね」
「うわ、エリートじゃん。超エリートじゃん。むしろなんでお母さんと知り合いなの?」
「いや私に聞かれましても……。あっちの世界からこっちに移住してきたなら、
「なるほど職権乱用でお母さんを口説いていると」
ちょっとララートさん、ユリィからの好感度低すぎません? もしかして何かやらかしました?
ここまで敵意(?)剥き出しだと伝えにくいけど……一応教えておいた方がいいよね?
「あと、ララートさんは私の保護者というか、未成年後見人という存在でして。養子にならないかとも誘われているんですよね」
「――まさか優菜にまで手を出しているだなんて!?」
「なんでやねん」
思わず関西弁で突っ込んでしまう私だった。