「てめぇ……やっと見つけたぞ!」
「……ん? おぉ……貴様は
「けっ! あたしはてめぇの顔なんざ二度と見たくなかったぜ
「ふむ、相変わらず過激だな。だが、心のどこかで我に会うことを待ち望んでいたのではないかね?」
「はぁ? 寝言は寝て言えクソ野郎。どの口がそんなこと言ってやがる!」
「ならばなぜ、ここまで辿り着いた? 我の前に姿を現したということは、ようやく協力してくれる気になったのかね?」
「……ちっ、仕方なく来ただけだ。余計な詮索すんな!」
「ふははは、実に素直ではないな! まぁよい、それこそが
「……やかましい! おしゃべりしてる暇なんざねぇんだよ! さっさと呪いを解け!」
「のろい……だと? 話が見えないなぁ
「ふっ……ざっけんな! てめぇが施した呪いだよ! 制約と言ってもいい! あたしの『愛する者に永遠に愛されない』という鎖を解き放てと言ってんだクソ野郎!」
「……ふ、ふふふふ、ふはははははははははははははははは!」
「なにが可笑しい! ぶち殺すぞ!」
「いや、失敬失敬。まさか
「てめぇ……二度は言わねぇぞ。覚悟はできてんだろうな? ああん?」
「まぁ待て、落ち着きたまへ
「……は? んなことどうでもいいんだよ!」
「いやいや、実に面白いと思わんかね? 貴様ほどの存在が『愛』を求めるとはな。いや、否定するな。我には分かるのだよ、貴様の目に宿るその欲望が……」
「ざけんな! 誰が欲望なんかで動いてるって言ったよ!」
「ふむ、では教えてくれ。貴様にとって『愛』とは何だ? ただの感情か? それとも、存在を超えた何かなのか?」
「……くだらねぇ質問だな! 答える気にすらならねぇ!」
「ほぅ……。だが、その呪いが『愛』に関わっているという点を無視するわけにはいかんだろう? 貴様が我にそれを求める以上、貴様自身がその答えを知る必要がある……愛とは何か、な」
「……っ! てめぇ、回りくどい言い方しやがって! だったらてめぇが教えろよ、『愛』が何かってな!」
「ふふ、我が語る『愛』を聞きたいと? ふははははは……いいだろう! 我にとって『愛』とは欲望そのものだよ! 欲望と欲望がぶつかり合い、互いの本能のまま身体を貪り合い、壊し合い、その中でしか生まれぬ何か……それが愛だ!」
「……信仰する神でも鞍替えしたか? てめぇの口からそんな言葉が出るとは思わなかったぜ」
「神なぞ存在しないよ
「……さっきからてめぇ何なんだ? 元からイカれていやがったが、遂に頭のネジ全部外れたか?」
「それは違うぞ
「……また訳の分からねぇことを言い出しやがって! てめぇ、正気を疑われたくなかったらもっとまともに話せよ!」
「ふふ、まともに話せ、とは実に興味深い意見だな。では、貴様が言う『まとも』とは何だね? 多数派の意見に従うことか? 世間が認める基準に収まることか?」
「はぁ? んなもん知らねぇよ! まともってのは、普通に話して、普通に理解できるもんだろ!」
「ふむ。だが、『普通』とは何だ? 何が普通で、何が異常か……その線引きは誰が決めるのかね? もし、全員が同じ方向を向けば、それが正気と言えるのか?」
「……なんだよそれ。てめぇ、言葉遊びばっかりしてんじゃねぇよ!」
「言葉遊びか。いや、これは深遠な真実だ。人は皆、それぞれ異なる視点を持っている。だが、多くの者が恐れるのは、その異なる視点が『狂気』とみなされることだ。貴様も同じではないか?」
「てめぇ、あたしが狂ってるって言いてぇのか?」
「いやいや、逆だよ、
「……いい加減にしろよ! マジでぶっ殺すぞ!」
「ふふ、そう怒るな。我が言いたいのは単純なことだ。この世に狂気も正気も存在しない。あるのは、それをどう受け止めるかという視点だけだよ」
「……んなことどうでもいいんだよカスが! てめぇの信仰なんざ知った事じゃねぇ!」
「ふむ……。有意義な議論だと思ったのだが、致し方無いな。それで、呪い……だったかな? いいとも、貴様の欲望、叶えてやってもいい。但し……」
「けっ、言っておくが何でも協力するわけじゃねぇぞ?
「くくくくく……。未だに
「……! てめぇ……誰だ?
「ぬははははははははは!
「
「ふはははははははは! さて、我は誰なんだろうなぁ? なぁ?
(これは……ちょっと早まったかもしれねぇな……。わりぃ