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チュートリアル用チョロイン幼馴染に転生してしまった
チュートリアル用チョロイン幼馴染に転生してしまった
水性さん
異世界恋愛ロマファン
2025年02月23日
公開日
8.8万字
連載中
ハーレム物エロギャルゲーの幼馴染ヒロインに転生した元JKが、エロゲ主人公の勇者にセクハラとかヤンデレされたりしたりする話。 (本作品は戦闘シーンや、過度な下ネタなどが含まれております。苦手な方は回れ右しましょう) なろう、pixiv、ハーメルンなどの他サイトでも投稿しております。

第10話 これが閃光玉だ!!!



「俺は戦闘部門担当のゲイル、元ここの卒業生で傭兵ギルドの上がりだ。これからみっちりとお前ら雑魚共を扱き上げる、くれぐれも死なないように。とくに……そこのアホ面勇者」



 授業とか校内案内、ガイダンスなどの説明が終わった後、クレア先生に着替えた後に行けと指示を貰ったので午後の授業は運動着を着用して訓練場に来てみたら、何故か先生にそう言われていた。


先生の隣には何故か先生の身長より高い台のような物がある。何に使うんだろう……。


 元傭兵にしては童顔で背が低くて可愛い顔をしたゲイル先生は雑魚と言うものの、レイゼルは気にせず私にくっついていて「ノエル~♡ 好き好き好き好き好き好きっ♡」と言いながら頬擦りをしていた。やめろ、恥ずかしい。ただちにその一休さんをやめろ。


 というか顔面押し返してるのに、すっごい力だな……。



「ちょっ!? 私の手を舐めるな変態!!」


「あひんっ♡♡」



 勇者としてのスキル、そして絶対に私以外とはセッ……をしたくないというレイゼルの都合上、私もいつか強制的に一緒に旅に出る事になる為、私も専攻は戦闘部門に入る事になった。たぶんマネージャー的なサポート的な事をする……んだろうけれども、やめて。私はどうやら戦闘部門に居る唯一の女の子らしいので、ただでさえ目立つっていうのに。


 他の一部の男子数人、凄い目でレイゼルの事見てるよ。殺気立ってるよ……ただ、何故か私に殴られた時の幸せそうにしているレイゼルをほんのちょっとだけ羨ましそうにしているのは何で。


 あと先生、どうしてレイゼルを殴った私をじっと見て「ん……?」と、なんだか引っかかる……みたいな顔で見てくるんですか。



「今年からは勇者が居る以上、どうしてもこの訓練はより実戦向きで例年よりもレベルが上がる。今こうして話している時間すら惜しい、よって……今から早速テストを行う」



 そんなゲイル先生の言葉に周りはザワザワとどよめく。が、先生はそれを「静かにしろ雑魚共、雑魚に発言する権利を与えたつもりは無い」と黙らせた。


 ……なんかだいぶこの先生、雰囲気がお父さんに似てる……でも違うような気がする。



「まず体の身体能力などを数値化し、そこから俺が各々の限界を知る為に体力測定をお前ら雑魚共にやってもらう。模擬戦闘訓練は1番手っ取り早いが、流石に今日は初日。一時間すれば学校内とその施設の案内もある。


 この学校はありとあらゆる学問が集結し、どんな事でも学ぶ事ができる。だがその分ここはあまりにも広い、移動だけでも時間がかかるからな。


 更に今日は寮での荷物の荷解きもある。俺もこれが終わればメニューを一人一人考えなければならない。それに現時点で勇者の良い模擬戦相手すら居ない可能性も捨てきれないから、よく考えて組まなければならないからな」



 意外とやる事少ない、と思っていたけれども。まぁ、それはそうか。新入生がやって来たりで、レイゼルの事もあるしで先生は凄く忙しいもんね……戦闘部門の一年担当の先生はゲイル先生だけなのかな、少ない気がする。


 するとゲイル先生はとある銀色に光る金属のプレートのようなものを持ってきて、それを渡すと「全員に行き渡るように回せ」と言って、少し何処かへ行き……そしてとある不思議な物体を持って戻ってきた。



「……何だ、あれ?」



 持ってきた物は青くてプルプルとした丸い物体で、それは何故か「ピキー」と言っている。どう見ても、ゲームでは雑魚キャラでお馴染みのスライムが居た。


 それにはとてもシンプルな顔で目は真っ黒で棒のように細くて縦長。それでパッチリとしており、口はまさに小文字のオメガそのまんま。可愛らしいスライムが先生に抱えられてプルプルし、台のようなものに乗せられていた。……台って、そのスライムの為の物だったんだ。



「彼は350年以上前からこの学園に勤務している、スラのすけ先生だ。見てのとおり彼はスライムで魔物だが、もうずっと長い事人と共存し生活をしてきた。今の時代では数少ない、珍しい友好的な魔物だ。雑魚共、失礼のないようにしろ」


「ピキー! ピキ、ピキー!」









「(何を言ってるか全然わからん……)」



 多分この場の生徒全員、こう思ったと思う。


 私も全然分からん。



「スラのすけ先生は「キラキラと目を輝かせてやって来た癖に、やけにその汚い足でよく校門を踏み入れたな。しゃしゃと渡しゃれた物をぼきゅに渡しゅのねん、じゃこザコ共」と、言っている」



 先生、何でそのピキーだけで言葉が分かるんですか。というかなんだそのスラのすけ先生、顔が可愛いのに言ってる事がアレなんですが……。あまりにもよろしくない。


 あとゲイル先生、人間に友好的って言いましたけどそれ本当にそうなんですか。



「どうぞ」



 そう思っていると隣に居た、同じ新入生の男子が私とレイゼルにプレートを渡して来た。貰おうとしたけど、サッとレイゼルが先に私の分も取って「ありがとな~」と言いつつ私にそれを渡す。


 ……昔からこうなんだよね。私がお父さん以外の異性から何かを貰ったり渡されたりする時には、必ずレイゼルが代わりに受け取ってそれから私に渡す。


 小さい頃にはよく村のおじさんが私にお菓子あげてくる事があったんだけど、いつもそれをレイゼルがシュッて横から取って半分こにして、まず匂いを嗅いで自分で食べてから「ノエル、これ変な物入ってないから大丈夫だぞ!」ってよく言ってきた。


 まぁ、ぶっちゃけ変な物入ってなかった時が少なかったけど。


 それで前にレイゼルの行動パターンを観察して熟知していたショタ好きな旅人のおじさんが来てて、前にお菓子に大量の媚薬混ぜ込んで私に渡してきた事があった。レイゼルがそれを食べてある意味の処女を奪われて、女の子にされる事件が起きそうになってたなぁ……。


(※皆は知らない人に食べ物貰っても、落ちてる食べ物を見つけても、絶対に食べちゃダメだよ! まぁ、作者は食い意地張ってるから小さい頃に渡された事あったけど普通に食べたし、落ちてるの食べた事あるし、バレンタインデーは渡されたら即その場で「おかしウマー!」言って食べるけど……。


 もしかしたら死ぬかもしれないから、気を付けてね! 特に女子!! 食べていいのはスーパーとかの試食用だけだぜ!! 作者みたいな女にはなんなよ! 作者バカとの約束だ!!)


 そして同級生の一人がスラのすけ先生にプレートを差し出すと、そのプルプルは……プレートをパクリと食べた。



「スラのすけ先生に魔力を込めてみろ」


「は、はい……」



 ゲイル先生に言われるがまま、グラの無い同級生はスラのすけ先生に触れて魔力を込める。すると、先生の体がカッと一瞬だけ輝き、それから可愛らしい口を動かす。



「ピキ……モゴモゴ……………………。
























 ペッ!」






 そしてプレートが吐き出される。



 ヨダレみたいなものがベッタリと付いている訳ではなかったけれど、あんまり拾う気にはなれないプレートが地面に落ちた。





「ピキキ、ピキーピキー♡」


「スラのすけ先生曰く「 くしょクソじゃこザコしゅぎてお話にならないのねん、じゃ~こじゃ~こ♡ よわよわニンゲン♡」だそうだ」



 それからスラのすけ先生が腹の立つ、メスガキみたいな顔をしてプークスクスと笑う。



 それから数秒の静寂。












「拾え」



「……はい」



 そして次々にプレートをイート&リリース(ペッ)していき、とうとうレイゼルと私の番がやってきた。



「はい、スラのすけ先生どーぞ」



 まずレイゼルが先で、そう言いながら先生にプレートを食べさせるとプルプルボディーに手を当てて魔力を込めた。



「ピキ……モゴモゴ



 ペッ」


「先生ありがと~」



「ピキー、ピキピキ」


「スラのすけ先生曰く「やっと少しはマシなヤツが来たのねん。でもあくまでマシな事を覚えておくのねん、じゃこ」と言っている」


「それ褒めてる? それとも貶してる? どっち? 


 えーっと……どれどれ」



 プレートが吐き出されて地面に落ちる前にレイゼルはそれをパッと取るとプレートを見始めていて、次の番が回ってきた私はスラのすけ先生に近づいた。


 ……その時だった。



「ピッ、ピキッ!?」



 何故かスラのすけ先生が私を見ながら、プルプルと震えて冷や汗をかいていた。



「……?」



 私は疑問に思いながらもスラのすけ先生に私はプレートを食べさせると、私は青いプルプルしたゼリーのような先生に触れる。


 ……柔らかっ!! えっ、何これ?! 凄く癖になるかも……! ぷにっぷになんですけど!? ずっとこうしてたいな……。


 とはいえ今は授業中、魔力を先生に込めないと。でも、どれくらいやればいいんだろ? 


 そう思っていた時、学校に行く前にお父さんに言われた事を思い出す。















『いいかノエル。興味がある事や得意な事、そして自分がやるべき事には全力で取り組み、何事にも一番になれ。お前にはそれが可能だ、何故か分かるか?』


『えっ……いや、全く』





『答えは至って簡単でシンプル、"天の領域という世界に住む神が、自ら豚に成り下がることを望んだ眉目秀麗・頭脳明晰・温柔敦厚・運動神経抜群の相手……つまりお前はこの俺の娘だからだ。



 俺にできてお前にできない筈が無い。さぁ、行ってこい。良い結果を期待して待っているからな』


『流石に私も超ハイスペックなお父さんみたいに……とはいかないと思うけど、行ってきます!』




















 ……父親にあそこまで言われたら、全力でやるしかないね。























というか、あんなザコとか言われたくないし!! すっごい腹立つ!!! 全力でぷにぷにすんぞオラ!!!!


 そう思い、私は全力で魔力をスラのすけ先生に流し込んだ。






















 カッ!! 



「ピギャ────────ッ!??」


「あ──────────ッ!??」



「スラのすけ先生──ッ!? うわぁぁぁっ、スラのすけ先生がぁぁっ!!!」



 今までで一番強い光と共にスラのすけ先生が発光して、まるでPKフ○ッシュみたいに輝く。ちなみに先生に触れていたからか、一番近かった私は目を焼かれた。


 これが文字通りの閃光玉か……目が痛くて涙が止まらない。



「ノエルっ!? だ、大丈夫か!?」


「目が、目がぁ!!」



「ノエルがム○カ状態になってる!! とっ、とりあえず落ち着いて人工呼吸しないと!!! ……あっ、なんかちょっと胸とチ○コがドキドキしてきた」


「それは呼吸止まってる時のやつだから全然違う!! というか、どこでム○カを知ったの!?」



 私は回復魔法のヴァリカーで目を癒す。そして回復した視力と目でハッキリと、本当に人工呼吸()をしようとしてくるレイゼルの近づいてくる顔を見て、顔を手で押し返した。……また私の手を舐めたな!? 


 私はとりあえずスラのすけ先生の方に目を向けると、プルプルした先生は目を回しながら口から徐々にプレートをリバースしていた。


 ……なんか、写真を印刷するコピー機より出てくるの遅いな。


 だけどそれよりも、何故かゲイル先生が「うわぁ!! どっ、どうしよう……スラのすけ先生が! どうしよう、どうしよう!!」と、さっきまでとは全く違う様子で慌てていた。


 もはや別人、おまえ誰やねん状態。


 そんな事を思っていると、先生はビックリする発言をしていた。










「こんな事、ノルト君以来だよ……まさかスラのすけ先生が魔力のキャパオーバーでパンクしちゃうなんて……」










「……えっ!? ゲイル先生、私のお父さんを知ってるんですか!?」



 思わずそう言うと、それからゲイル先生が目を見開いて驚愕した。



























「えぇぇぇぇぇぇぇえぇぇッ!??」




 ぇぇぇぇぇぇぇっ





 ぇぇぇぇっ





 ぇぇ──



















 先生の声がエコー付きでこだまして、先生が私を信じられない物を見ているような目をしながらあんぐりと口を開けていた。



「ど、どこかで見た事があるような顔だとは思ってはいたけれど、まさかノルト君の子だったなんて……。




 も、もしかして伝説の再、来……!?」


「伝説の再来ってどういう事ですか!?」



「し、知らないなら知らないでいいんだよ、うん。あれはスゴかったなぁ……色々な意味で」



 先生、一体どうしてそんな遠い目をしているんですか。それとそのキャラの豹変ぶりはなんですか。絶対こっちが素ですよね? 



「……あっ、ゴホン! ゴホンっ!」



 先生、そんな誤魔化すように咳払いしても遅いですから。それに「あっ」て言っちゃってるし。



「これで全員終わったな、次は体力測定だ。さっさと動け雑魚共」


「あの先生、もう隠しきれてないのでキャラ作らなくて大丈夫だと思います」



 そう言うとゲイル先生は目にいっぱいの涙を溜めて、それから決壊した。その場の全員がギョッとして、どうしようコレと思いながらアセアセしていた。




「うっうぅ……今年こそはボロ出さないって、ボロ出さないって決めてたのにぃ!! 僕のばかぁぁっ!! うわぁぁぁぁああん!!」



 ゲイル先生は顔を手で覆ってえっぐえっぐと泣き始める。その姿はまるで幼子。


 オイオイオイオイオイ、大の大人が泣き始めたぞ。大丈夫かコレ、というか本当に一体どうした。顔が童顔で背が低いから泣いていると本当に子供みたいに見えるんだが。


それにしても、ちょっとウサギみたいで可愛いな……母性本能がくすぐられる。








 ……あれ、なんか寒気がするな。なーんか隣からすっごく寒気がするぞ。


 いやありえないほどに寒いんですけど、もはや-273℃絶対零度並の冷気感じるんですけど? あの、レイゼルさん? どうして一切の表情が抜け落ちた顔をしてるんです? どうして普段の青い目が深淵アビスのごとく暗闇で染まってるんです?? 



「れ、レイゼル?」


「ん?」



「そ、その……あの、大丈夫?」


「何が? 


 俺、ノエルが他の男に可愛いって思った事なんか、全っっっっっ然、気にしてないけど??」



 嘘つけ、それ絶対気にしてるヤツ!! 


 それから先生が泣き止むまで冷気を発していたレイゼル以外は全員オロオロし、泣き止んだ先生はゴシゴシと目元を拭うと「ご、ごめんね皆……」と、しょんぼりした。……可愛い!!



「ぼ、僕、本当は気が弱くて……。学生時代もずっとイジメられてたし、毎年何人か現れる僕をイジメる生徒が怖くて……。でも僕は教師の立場だから生徒に強く言えないし、もし怒ったら相手が貴族の子だったら立場の方がその子の方が高いし、前にご両親の方に凄く怒られたことがあって怖かったし、もしかしたら最悪僕は首になっちゃうかもしれないし……」



 ……これ立場の弱い教師の独白になってない? 現代社会でもよくあるモンペと、守られる立場の生徒がその立場からあぐらこいて教師をいじめる、そういうヤツになってない? というか、先生絶対強い筈なのに、気だけはどうしても強くならなかったのか……。



「だ、だからね……僕の学生時代の同級生……ノルト君、きみのお父さんにどうすればいいのかなって聞いたんだ。そしたら「俺のように振る舞えば、どんな餓鬼であろうと大人しく言うことを聞く」って……」


「な、なるほど、それであの態度だったんですか」



「でももう駄目だよぉ~~!! また今年もばれちゃったよぉぉぉ!!! しかも初日に!!!!」


「というか先生、どうしてそんな無理してまで先生を続けてるんですか」



 私は純粋に気になってそう聞くと、先生はビクッとして目を泳がせ始める。



「そ、それには……深い、事情が」



 若干顔が赤くさせるゲイル先生の様子に私はなんとなく、何故か気づいてしまった。


 これは多分、女の勘的な……そんな感じ。多分この先生、脅されてる。それでどんな脅しなのかは、この世界が一体どんな世界だったかを思い出して当てはめてみれば分かる事。


 きっとあれだ、学校の誰か……たぶん教師陣の人かな。無理やりエッな事されていやらしい写真とか映像撮られて、それを脅しの材料とかにされてエッな事されてるんだ。そして生徒からされるイジメもエッな事なんだ……。


 まさにR-18の世界、なんてエッで最低な事を。


 でもそれって要するに気が弱い人はこの世界だとこういう目に合うってこと? それはちょっと恐ろしすぎない? 官能小説とかエロ同人とかだと普通にありふれててエッなシチュエーションではあるけれども、リアルだと……なんか、凄く可哀想。というか想像しちゃって生々しいというか、いろいろと駄目だなこれ。


 辞めたくても辞めたら脅されてる身だからヤバい訳か……。相手の人、相当鬼畜だな。



「と、とにかく! みんな、僕が渡したプレートは確認したかな?」



 あっ、そういえばまだだった。そう思ってスラのすけ先生の方を見れば私のプレートは吐き出した後で、地面に落ちているのかと思ったけど下を見ても無かった。



「はい、これ。ちょっと見てたけど、ノエルのステータス……すっげーヤバかったぞ」


「あ、ありがと……」



 どうやらレイゼルが私の代わりにプレートを取っていたらしい。……ん? ヤバかったって、何が?? 


 私はそう思いながら何も書かれていなかった筈のプレートから光が浮き上がっていて、そこには私のプロフィールとかステータスが載っていた。それで見てみると、私はこう思った。

















 どこのなろう系主人公ですか!?? 


 いや、えっ?! 


 攻撃力と会心率と魔力、それから瞬発力がの数値がエグいんですけど!? まぁその他の体力とか素早さ、防御力、反応速度とかその他もろもろは凄く低かったけど……。完全なるチートではなくて、まぁ安心はしたかな。じゃあなろう系違うな! ヨシ!


 というか素早さと瞬発力って分けられてるんだね。たぶんあれかな? 走ったりする速度は遅いけど、攻撃をする瞬間とかが早い……とかかな。


 あぁ、でもなんか分かる気がする……何でだろ。


 魔力はお父さんの圧倒的な遺伝だし、家でお父さんに魔法を教えて貰ってたから分かるとして……何でそんなに攻撃力と会心率高いの?? 


 私は少し考えていると、レイゼルが後ろから私の顔を覗き込んでくる。



「考え事?」


「…………なるほど、原因はお前か」



「何が? 俺の事が大好きで意識すると、すぐにびちゃびちゃのぬるぬるになる事??」


「とりあえず死ね」



 それにしても一体なぜ私はそれを咄嗟に否定しなかったのか……これではそうだと言っているようにしか聞こえない。レイゼル、何私に対してニヤニヤとしているんだ。勇者のくせになまいきだぞ。


 まぁでも当たらないと意味無いから、実戦だったら普通に私速攻で死にそう。すばやさ上げないとほぼ意味無いね、これ。


 それにしてもスキルの欄に"まだ解放されていません"って書いてあるな……たぶん、あれかな。何度もレイゼルとセッ……しないといけないやつ。ノエルは最初のヒロインだからスキルは最初何も付いてない筈……なんだけど、これって何? 


 なに、この"変態ホイホイ"と"無自覚ドM調教"と"フラグの巨匠"って? "遺伝"っていうスキル以外はすっごく要らないんだが?? でもこんな字面だけ見ても今までの事を考えると、物凄く思い当たる事しか思い浮かばないんだが??? スキルの説明とか書いてあるけど、ぶっちゃけ見なくても分かってしまうんだが??? 


 えっ、誰か!! 私の、このクソみたいなスキルをなんとかしてください!!! ……はい、無理ですよね。ゲームと違ってこれは現実だし、ゲームでもスキルは新たに追加される事はあれど、ずっと固定だったし。


 ダメだ……これは何か別の事に目を向けて忘れよう。



「と、ところでレイゼルの方はどうだった?」


「気になる? 俺とキスハメしてくれたら教え──」



 私はレイゼルの頭を掴んで持ち上げると「あぁぁぁぁぁっ♡ ノエルらめぇっ♡ 頭がミチミチしてりゅぅっ♡♡」と言いながら変態はプレートを渡してくる。まさか、されたいが為にそんな事を言ってたりしないよね? そしてそれを見ていたゲイル先生は「ノルト君に性格似てないなぁって思ってたけど、やっぱり似てたよぉ……やっぱり伝説の再来なんだ……」とか言ってた。



 そしてレイゼルのプレートには全体的に高い数値が書かれていて、やっぱりこれでも一応勇者なんだなぁ……と思う。


 ……ん?? 


 待て、防御力……お前どうした?? なんか、圧倒的に……桁違いに数値が高いんだが?? えっ、何で!? ちょっとおかしくない!? 



「のえっ、ノエルっ♡ 力入ってるっ♡♡ 俺の頭潰れちゃうからっ♡♡ ノエルに殺されるのは本望だけどっ♡♡♡ まだ一緒に居たいからやめてっ♡♡♡」



 私はレイゼルの頭から手を離すと、じっとレイゼルのプレートを見つめる。まず勇者は必ず手に入れられる固有のスキル……そう「セクシャル・バフ」まぁ、そのまんまで分かりやすいね。


 効果は異性とのスキンシップ、特に粘膜接触……まぁセッ……をする事により、バフの効果を受けられる。ただし受けるバフは女性によって個人差あり。そして仲が親密であればあるほど、スキンシップ……特にセッ……の回数が多ければ多い程に、バフの効果は飛躍的に上がる。


 手を繋ぐ場合はその間だけ、抱き締めたりする場合は数分、ソフトなキスで5分、ディープキスは10分+していた秒数で、セッ……をすると1時間。ただし、中にではなく外に出すと一時間ではなく30分になって、口の中に出した場合は45分。それらは出した回数でカウントされる。


 うん、原作と変わんないね、効果時間以外。……あれ、小さくなんか見たことがない続きが書かれてる。


 想っている相手とお互いに心が通じ合うと……たぶん恋人同士? になると、相手との目に見えない魔力の繋がりができ、視認する事や近くに居るだけでもバフの効果を得て精神衛生上にもいい効果を得ることが出来る。それにより、レベルが上がった時のステータスの上昇も高くなる。もしかして最大値を引けるってことかな? 


 あと繋がりができた相手は魔力が勇者と馴染みやすくなり、勇者から行使された魔法の影響を受けやすくなるが、その代わりに魔力に関係したバッドステータスは余程強くない限りは効かなくなる。うーん、なるほど? 無効って訳じゃないんだね。あ、だからさっきのスラのすけ先生のピカーッてしたやつで目が焼かれたのか。


 ……ただし、異性の相手との関係が何らかの方法で悪くなったり、相手の精神状態が著しく悪くなったとスキル保持者が感じれば、そのバフはデバフに反転。その上魔力の繋がりがある相手であれば、相手を視認するだけでもデバフの効果を受ける。あまりにも強力なデバフを受けると、魔力が暴走し精神に異常をきたす!? 


 ……あっ、あぁ!! 


 原作のデバフ効果ってそういう事だったの!? プレイしてた時、一回も浮気してないやつとNTRルートの2つのデータ残してたけど、あれなんにも説明無しにデバフ来るから、相当キツイ精神的ショックによるものだと思ってたけど……これ、スキルの影響だったのね!? へぇ~……そうだったんだ。


 知らなかった、そんなの原作のスキル説明欄にも書いてなかったし。


 私、あんまりホラーチックな演出好きじゃないし怖いからホラーゲームとかやらないんだけど、デバフイベントは……運が悪いとヤバいエンドに行く。ちなみにそれは事前情報無しでやった私のトラウマシーンでもある。それでそのシーンが終わった後、何故かそのセーブデータが消えてて本当に怖かった。


 なんかデータが壊れて消えて、レイゼルの人生が全部比喩されてるみたいな感じで……。


 それからプレートには他にもスキルが入っていて、中には"ノエル"って書いてあった。……なんで私の名前がそのまま書いてあるんです? なんか怖くて読めない。


 後は……なに、この"■■■■■"って。解放されてないとかなら分かるけど、気になる……なんだかバグってるみたい。


 でも何だか、凄く嫌な感じがする。いつか読めるようになるような予感がするけど、それが読めるようになったら……"何かが起こる"……いや、とんでもない何かがその時に"起こってる"ような気がする。











「じゃあみんな、僕にステータスプレートを渡してね! いっぱいみんなの為にメニューとか考えてみんなが強くなれるように頑張るから! 


 そうしたら体力測定を行うよ! いくらその数値が体の状態を表してても、それはあくまで理論上に過ぎないから。日によってコンディションは全然違うし、疲れていたらその数値通りには動けない。


 いくら肩の力とかが強くても、投げるフォームと方向が良くなかったら遠くまで飛ばないでしょ? だから実際に動いてみる方がいいんだ」



 確かにそれはもっとも、ところでどうして私も測ったんです? いくらレイゼルのバッファーだからって……。


 そう思いながら私とレイゼルは先生にプレートを渡すと、それを見た先生は「わっ!? うわっ!?」と驚いていて、先生は私に一言こう言った。



「えっと、ノエルさん……一体どうしてこうなっちゃったの?」


「私が知りたいです、ところでどうして私も……?」



「やっぱり勇者の旅は過酷だからね、その同行者も自衛できるくらい強くないとす~~~っごく、危ないから! 


 そんな危ない旅にいくらレイゼル君っていう勇者が居ても……ドラゴンの爪とか牙でも、傷一つ付かなそうな防御力を持ってて、並大抵の攻撃を生身で受けても傷一つできなさそうな…………そんな勇者でも! 巻き添えに遭っちゃったら危ないでしょ?」


「……納得しました」



 とりあえず変態は変態的なステータスを持っていたと。もしかしてレイゼルは世界最硬と言っても過言では無いほど、圧倒的な防御力を持った肉壁なのでは……?? 


 それから優しくて気は弱々、体はけっこうガッシリしてるゲイル先生による体力測定を行ったけれども、正直凄くハードでした。


 でも先生が「みんな、頑張れ~っ!」って、チアのポンポン持ってブンブンしてるのを見ていると、可愛くて私の中に微笑ましいものを感じていた。先生が応援してくれたから頑張れた、とても頑張れた。二次元にしか存在しないような可愛い合法ショタ、良いな……前世だったら普通に推してるかもしれない。私自身、可愛いキャラクターが好みなので。


 これで最低でエッな事されてなければ尚良かった。私は可愛いキャラクターとか人は可哀想な目に遭うより、幸せになって欲しいタイプなので。


 ……だけど何故か隣でレイゼルが「なぁ、ノエル? なぁなぁ? いま浮気した?? 浮気したよな??? あぁ、別に怒ってる訳じゃなくてただ事実確認をしたいだけなんだよ。ノエル、浮気したよな???」とずっ……………………と終わるまで聞いてきて、私の情緒という名の株の変動がおかしくなりました。


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