目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第11話 大切にしたかったらしい!!!



「みんなお疲れ様、よく頑張ったね! 凄く偉いよ~!」



 そう言ってゲイル先生はにっこりと笑ってくる。……う~ん、可愛い。



「疲れたと思うから、ちょっと休憩してからこれからみんながお世話になる創作科の所に行こうね!」



 ん? という事はもしかして……あれかな。


 レイゼルに引っ付かれながら私は重力という偉大な星の力によって、無様に地面に這いつくばっていた。ちなみにそんな状態なのは私だけで、やっぱり男女の体の違い+運動するかしないかの差を強く感じていた。


 先生からは無理しなくていいからって言われたけど、嫌だったから頑張った。



「暑い離れろバカ……」


「じゃあこうは?」



 するとレイゼルは氷魔法のグロウを弱く自分にかけて抱きしめてくる。



「今は許す」


「許された」



 私は隣でスリスリされながら涼んでいると、周りから視線を感じるものの気にしないようにした。だって暑いんだもん、仕方ない。あと普通に疲れきってて恥ずかしくても立てない。


 だって皆に追いつく為に身体能力強化のフィリンで魔力結構使ったから、氷魔法使う魔力が残ってない……。一人だけ着いて行けなくて動けないなんて、そっちの方が恥ずかしくて嫌だし。


 でもフィリンって長時間やって効果切れると、体強くないと体が相当なエネルギー持ってかれてキツイんだよね……。それに体が限界以上まで動くから、ビッキビキする……やべぇ。凄く痛い筋肉痛みたいな感じ。


 ちなみに小さい頃に一回だけ使った事があって、それが……。




『ノエルっ♡』


『何で追いかけてくるの!?』



『俺と結婚して俺専用だけラ○ドールノエル(※)になって♡♡』


『レイゼル!??』


(※この世界流な告白の一つ。(作者は女なので紳士諸君のそこら辺の事情は知らないが)たぶん男女共にそういうグッズって余程ゴミなヤツを買わない限り、滅多な事がないと捨てることがない(と思う、それに捨てづらいし)そういう意味からずっと一緒♡ という感じに告白の言葉に転じて使われるようになった。元々魔物の中でも随一性欲が高いインキュバス(の場合は大体がラ○ドール)とサキュバス(の場合はディ○ド)が使っていた、もう一生あなただけしかセッ〇スをしない、という意味の本気の告白をする時に言っていた言葉だった。それから人にその告白の仕方が伝わり、今では言われるようになった。しかしこの告白は諸刃の剣。お互いに恋人同士かお互いに強く想い合っていなければ、エロゲーの世界とはいえ普通に「は? きっしょ」となる)



 まぁこんな感じで、7歳になったばかりのレイゼルに追い回されていたからだ。その時に逃げる為に使ったんだけれど……ヤバかった。体がまだ未成熟も未成熟で体に負担がかかりすぎた結果、効果切れた時に倒れてレイゼルに「捕まえた♡ はぁ、可愛い……ノエル、ノエルノエルっ♡ ずっと、ずっと会いたかった……♡」って目の光を消しながらハートマークが付いてる状態で、何故か泣きながらそう言われたけど。


 ……普通に恐怖だった、ありえないくらい鳥肌立った。意味が分からないのもあるけど、本当に別人としか言いようがない異様な雰囲気な様子……そして私を見ているようで見ていない目に。


 というか会いたかったって何? 私と昨日も会ってたよね?? 今でも凄く……思い出す時に気になるけれど、まぁいいか。


 それから恥ずかしい思いをしながら、甘んじて……そう仕方なく! 仕方なく受け入れていた。実際、本当に体動かせないから休憩時間終わっても立てなくて、不思議に思った先生が凄く心配してきたし。フィリン使ったって言ったら「えぇっ!? 大丈夫!?? フィリンって体があんまり強くない人が使いすぎると、筋肉の繊維がちぎれて筋断裂しちゃうよ!?? とりあえず大丈夫そうだけど……やっぱりノルト君の子だなぁ」って凄く心配された。


 フィリンって、そんなにヤバい魔法だったの!? 


 お父さんは「この魔法を使えば、どんなに威張り散らしているゴミでも簡単にねじ伏せゴミ箱に捨てられる。慣れれば中々使い勝手がいい」って言ってたけど……やっぱり天才だからか、これ天才の感想だったんだな、そうだったんだな。


 というか普段運動しない私がこの魔法にかなり耐えられてる事がおかしいんだよ、どうなって……あ、たぶんお父さんからの遺伝だ。お父さん!! そういう事はちゃんと言わないとダメだよ!! 



「ノエルは本当に負けず嫌いで頑張り屋さんだな~、俺はそういう所も昔から好きだけど……♡」


「やるからには、ちゃんとやるよ。それにお父さんが一番になれって言ってて、良い結果期待してるって言ってたし。それ以外の結果を報告する訳にはいかないでしょ……」



 するとレイゼルがニヤニヤしながら見てくる。



「で、本音は?」


「私の事ヒソヒソ胸が無いとか色気が無いとか、私が来たくて来た訳じゃないし本当の事だけど、お前戦えもしないのに何しに来たとかものすごく腹立つ事言ってたし、私が疲れて転んだ時もワンチャンあるんじゃないかって心配するフリして「助けてあげるよ」って若干上から目線で近づいて来やがったコイツらより上になって、私が「自分よりスタートが遅かった女の子より弱いとか、ありえないんだけど。この学校で何をしに来たの? 家に帰ったら?」って、プライドをズッタズタに引き裂きたい……ちっぱいとかまな板とか言いやがった奴ら絶許。


(というか、この世界だと私レベルの貧乳は希少だぞ? なのに何でそこの価値観とかは同じなの?? むしろ大きいのが居すぎたら逆に小さい方がいいってならない? それともやっぱり男は母性を感じるからなの?? ふざけんな?? 私だってこの世界の平均サイズのDとかEになりたかったよ、大きくなるように頑張ったのにならないんだよちくしょう。どいつもこいつもロリ体型の合法には巨乳とか言いやがって……やばい、王様あのあれ思い出しちゃった)


 うっぷ……」



「やっぱそう思ってると思った、それで大丈夫か? 吐きそう?」


「大丈夫……というか、これ以上無様な所は見せたくないから吐かない」



「ノエルってそういう意外とプライド高いとこ、自尊心の権化なお義父さんに似てるよな」



 それからレイゼルに肩を貸されながら、なんとか自分の足で立って歩いていたけど……ゲイル先生には道中で「あんまり無理したら駄目だよ?」って何度も心配された。優しい。


 けどそういう所が凌辱される原因だよ、先生……可哀想に。現代の日本だったら絶対に(私調べ)童顔低身長で筋肉ついてて頼りがいがあって泣き虫なギャップ萌えが好みの人からモテてるよ。



 そして煙突があって、そこからモクモクと煙を出している建物に入る。着いたのは……そう。








「ここは最高峰の武器・防具を作る技術が結集する場所、開発部門の校舎だよ! あっ、喉が弱い子は煙に気をつけてね」





 カンッ カンッ ガガガガガッ バチチチチチッ


 ちくちく トントン ガリガリ シャーッシャーッ



 鉄を叩く音、金属を魔法で削る音、金属を溶接する音。魔獣の素材を加工したり、それを防具にして縫ったり、武器にしたり。誰もが集中しながら自分の作品に向き合っている。





「こっちは主に武器を作っているエリア、あっちは防具──」


「お゛っ♡♡」




 そう説明する先生の声をかき消すかのように、とある教室の一室から男性の野太い声が聞こえてきた。


 えっ…………えっ??? 今授業中だよね!? 一体ナニが!? 






 それからまた再び訪れた静寂に気まずくなると、奥の教室の方から一人のタレ目で高身長、片おさげ眼鏡属性イケメン(筋肉すごい)が廊下の方にやって来た。



「おや……ゲイル先生、新入生達に案内中ですか」


「ヴェ、ヴェルド先生」



「その様子からして、またバレてしまったんですね。今までで最速記録じゃないですか?」


「うっ……」



 図星を付かれたゲイル先生は目を逸らしながら「今回はちょっとイレギュラーな事があったんです……仕方ないんです」と言い訳をしている。そんな先生にヴェルドと呼ばれた先生はにっこりと笑った。




「もう、全部諦めた方が楽になれますよ?」



















 ……あっ(察し)





 あの自分ちょっと分かっちゃいました。なんでか分からないけど、分かっちゃいました。


 ヴェルド先生でしょ、ゲイル先生にアーーーーッ♂な事してるの。そ、そんな……薔薇だったんですか。腐女子と腐男子ホイホイだったんですか。


 私は腐ってないので普通にビビります。



 するとゲイル先生がビクッとして「あ、あの、ヴェルド先生……」と、何かを訴えるような感じで見た感じは優男なヴェルド氏を見つめる。


 ん、今魔力をちょっと感じた……。





「ひっ!?」



 そしたらゲイル先生はお腹を抱えてプルプルしながら顔を赤くさせる。


 ……えっ、えっ!? 先生!? 


 もしかして、入っちゃってるんですか!? もしかして授業中もずっと!?? お腹の中でバイブレーションしてるんですか!?? 作動中なんですよね!??


 先生っ!?? 







 それからゲイル先生はプルプルして、時々「ひゃっ!?」「うぅ……あっ♡」とか、ちょっとアウトな声を出しながら学校を案内してくれた。……先生、これはもう詰んでます。人生詰んじゃってます、もう女性と普通のセッ……できないと思います。


 あぁ、神よ……先生をどうかお救い下さい。アーメン……。



~・~・~



「次は寮だったよな」


「という事は、レイゼルが隣で寝る事は無くなるって事だよね」



 すると変態は顔を赤くさせてモジモジし始める。



「も、もしかして俺が居なくて寝れないとか? さ、寂しかったりとか……♡」


「は??」



 それから集合時間になる少し前に寮に向かうと、専攻問わず沢山の新入生がそこに居た。それぞれクラスを受け持っている先生達が居て、皆二列になって並んでいる。そしてその中で女の子だけしか居ない列の先頭に、クレア先生が居た。私とレイゼルに気がつくと、先生は手を上げて大きく振る。



「あっ、レイゼルくんとノエルさ~ん! 2人で最後ですよ~!」


「もしかして、俺達待たせてた?」


「……走って行こうか」



 生徒が多いからか学校の敷地内にある住宅地区という場所に寮はいくつかあって、その寮は屋敷みたいに大きい。なんと一クラスに一屋敷、そして二人一組で部屋を共同で使うらしい。男女はエリアで分けられているとの事。














「……で、どうしてレイゼルが女子エリアに居るの?」


「えっ、だって……ノエルの隣は俺の場所じゃん! ノエルの部屋は、俺の部屋でもあるって事だろ? それに──」



「は?」


「あッ♡」



 私は何故か寮案内で平然と、あまりにも自然に着いてきたレイゼルを睨みつけると本人はご満悦な様子で立派なちん……を勃たせていた。そんなレイゼルに周りの令嬢達は顔を赤くしながらチラチラと、レイゼルの下半身に目を向ける。


 まぁ、サイズ凄いもんね。それはそうとして、なんか嫌だから見るのはやめて。



「あぁぁっ~♡ ノエルが俺の勃起チ○コ周りに見られるの嫌がってるっ♡♡ 可愛いっ♡♡♡」


「うるさい黙ってろ!!」


「の、ノエルさ~ん、待ってください~! でも実はそれ、あながち間違いじゃないんです~!」



 私はレイゼルをぶん殴ろうとして、先生からのビックリなセリフを聞いて驚く。



「……ま、まさか」


「そういうコト♡」



「レイゼル知ってたの?」


「そ、実は午前中先生に聞いといたんだ~!」



 レイゼルは下半身を私に擦り付けながら抱きしめてそう言ってくる。ふわっと香水とか何も付けてない筈の、年々良さを増していくレイゼルの匂いがした。


 良い匂いするから普通にムラッとするんですけど。やめなさい、というかずっと思ってたんだけどこれ……勇者特有のフェロモンか何かか? 何でそんなにいい匂いするんです?? なんかつい嗅いじゃって私が変態くさくなるんだけど。いや、これはいい匂いすぎるのが悪い、私悪くない。うん、そう。そういう事にしておこう、じゃないと恥ずかしい。


 ……それよりも、人前でやけに硬くて熱いソレを私のお尻に擦り付けるな。



「じゃあ人前じゃなかったらイイんだな?」



 心の中を読むな!!! 










「レイゼルくんとノエルさんは同室ですよ~、なので思う存分……その、学校としては沢山ハレンチして欲しいそうです~!」


「やった! 学校大好き!!」


「いや、私の人権は何処いずこへ!?」



「ではこれで学校案内は終わりです~! 皆さん明日の授業に備えてからゆっくり休んでくださいね~! ……あっ、2人はゆっくりできないかもしれませんけど~、ちゃんと寝てくださいね~!」


「余計なお世話です先生」









 そして私は荷物を持って部屋に入ろう……として止めた。



「ちょっ、先生!? ベッド一つしか無いんですけど!? しかもあそこにYESって書かれてる枕は何ですか!??」


「で、では私は他に仕事がありますから~、また明日~!」



 逃げた!! 


 ちょっと待って、先生行かないで!! これじゃ家の中と環境がほぼ同じすぎる!! 家の方は気づいたら居たパターンだけど、ここは最初から隣に居るパターンだから! 男女とも寮は分かれてるから安心して過ごせると思ったのに! というか、むしろそれ以上にこれはやばいかもしれん!! その、色々と!! 


 主にこれから性欲の発散はどうすれば!! 私、タダでさえ前世に比べてこの世界に転生したからか、高くなったと自覚してるのに!! 


 も、もしかしてトイレで? 駄目だ、バレたら社会的に死ぬ。いや……でももうこれからはセッ……するかもしれないからどの道同じなのでは。


 それにレイゼルは意味分からないくらい鼻が利くから前にすぐバレたし、その時には「俺が相手しようか?」って色気たっぷりに聞いてきた事があるし!! 意地でも拒否しましたけどね! ……興奮したけど!! 



「じゃ、入ろうか? これから5年間お世話になる俺達の部屋に♡」



 逃げ場が無さすぎる。


 私はレイゼルとそのまま部屋に入る事となり、とりあえずそのレイゼルのレイゼルをどうしようかと思っていれば、レイゼルは更に擦り付けてくる。



「なんかさ、ここってちょっと部屋の雰囲気がラブホみたいだよな」



 そう言うと、レイゼルは私の小さな胸を優しく揉んでくる。



「テーブルとか基本的なのはあるけど、ほら……あそこの備え付けシャワールームとか、ガラス張りで中が丸見えだし」


「レイゼル、ちょっと……」



「それに天井とカーテン付きのあからさまな、でっかいベッドがあって……ノエル、一回座ってみる? どれくらい柔らかいかチェックするのって大事だと思うんだよな」



 そう言われてよく見てみると、確かに……ここラブホっぽいと思う。おい待て私、状況に興奮するな。



「……本当は俺さ、ちゃんとハジメテはノエルが良いって言うまで待つつもりだったんだけど……。明日、四時間目の授業で絶対にセッ○スしないといけないだろ? でもそんな状況でノエルのハジメテ貰うの俺が超嫌だし、ノエルも嫌だろ」


「それは……そうだけど」



「だからさ、ごめんな……今日の夜は絶対にノエルとセッ〇スしてなるべく痛くないようにするから」



 そう言ってレイゼルは私の頬にちゅっとキスをして、私から離れると荷解きをし始めた。


















「(チ〇コ痛え……)」






















 なになになになに!?


 一体何だったの!? というか、レイゼルいつも下ネタ発言してるけど、そういう所はちゃんとしたいタイプだったの!??


 ……と、とりあえず私も荷解きしよ。


 そう思いながら荷物をトランクケースから出そうとしたけれど、心の中ではあまりにもドキドキしていて、中々作業ができない。それに、顔もなんか熱い。というか、ムラムラが凄い……。


 さっきキスをされた頬に手を当てて私は心の中で、こう叫んだ。本当に時々そういう事してくるのはやめて、心臓が持たねぇ!!



~・~・~



 それで夜……始まる前にしばらくレイゼルにただ無言で抱き締められた後、はい……その、シました。ビックリする程良かったです……。


 でもヤッてる間にレイゼルが「俺の事好き?」とか「もう二度と離さない」とか「順番逆になったけど、俺と付き合って♡ もしノエルが他の男好きになったら、俺……死ぬから」とかクソ重い事を言ってきたし、聞いてきたけど……正直私は凄く喜んでしまいました。


 ……これでもし私を捨てるような事があれば、私はレイゼルを殺しかねない気がする。


 昨日の事を思い出しながら、これが朝チュンというものか……腰が痛い。そう思っていると、起きていたらしいレイゼルが抱きしめてくる。



「んへへぇ♡ おはよ、ノエル……♡」



 昨日で"ファーストキス"どころか処女まで一気に盗ったからか、とても幸せそうなだらしない顔をしておはようのキスをしてくるレイゼル。


 まぁ、そういう感じの顔は嫌いじゃないので良しとしよう。なんだか恥ずかしいけど、朝の挨拶は大事だし……一応言ってあげる事にした。



「……おはよう」


「~~ッ、俺のノエルが可愛すぎる!!」



するとレイゼルがスリスリ、はぁはぁしながら私の無い胸を揉んでくる。やめろ。



「うるさい、というか触るな!!」


「やばい、可愛すぎてチ○コ勃ってきた……♡」



「は??」



 それから朝からレイゼルにまた襲われて、8時半以降の時間になって、私は足がガクガクになっておりましたとさ。


 ただでさえ変態で性欲の塊なのに、1回ヤッてしまったせいで、リミッターが外れたらしく……結局ホームルームが始まるギリギリに教室に着いた。


 でも解せないのは、レイゼルが「4時間目の授業が楽しみだな~♡♡」とか言っていて、まだまだ元気だった事。無理なんだが……??


 あと朝ごはん、食堂で食べられなかった……荷解きした昨日の夜に食べた食堂のご飯、美味しかったのに……カロリー多かったけど、セッ……でもう全部カロリー消費してそうだな。そんな事を思ってしまった私であった。





この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?