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可思不可視
可思不可視
假名正稱
文芸・その他ノンジャンル
2025年02月23日
公開日
7.7万字
連載中
元・優秀生徒(同時に問題生徒)のイエドは、演舞の練習中の怪我をきっかけに不登校となった。級友で幼馴染でもあるユウエリマに不意を突かれる来宅に際して、平静を装うことにした。 しかし、その芝居がかった無感情は、イエド本人にも思いも寄らない自嘲を口にさせてしまい、ユウエリマを怒らせた。 もともと、疎遠になっていた二人を再び近づけさせたのは、――装うためではない、現実に訴える演技力を高め合う志を、共にしたことだった。 そのことを思い出したイエドは、再び志を新たにした。その矢先、自身の名の由来になった大樹にいざなわれる。 ※『可思不可視』の題材は「思うことができて、視ることはできない」  ――思いを巡らせても、実際に目で捉えることが難しいことを取り上げます。夢、物語、奇術などの裏側を、作者の想像を織り込んで少しずつ書こうと考えております。端的には作者の勝手気ままな作風でもあります。  「ノンジャンル」に設定した理由も、ミステリーやファンタジーなどをいろいろと想定して読んでみるのも、読者に試してほしいからです。  作者からの無粋な推奨ではありますが、第一部「潜在」では隠れ潜むものを推測しながら、第二部「存在」では現実に影響する不思議を感じながら、読んでいただけると良いのかなという感じです。 ※この物語は、人物や背景を”ひとまとめ”にせず、文章の端々にちりばめてあります。  すぐに詰め込むようなことをしないで、曖昧さ、遠回りを感じるように、敢えて綴っていこうと思います。  気長に読んでいただけたら幸いです。 ※他のサイト:カクヨムでも同時公開しています。note/Talesでは序盤から公開です。

第一部

潜在

夜の天蓋てんがいうつる星たちを

一心に見ているわたしたちは、

この星に住んできました。


夜の天蓋てんがいうつる星たちは、

この星とわたしたちを

一心に見てきました。


この星は、

周りの星たちを一心に見てきました。

そのために

ひたすらまわってきたのでしょう。


限界を知らずに、

なく続いてきました。


日出にっしゅつ日没にちぼつ

活動と静止。

満ちと欠け、

生誕と死去。


日出にっしゅつ日没にちぼつは、

ひたすらまわるこの星に

夜明けと夕暮れの景色をいろどり続けています。


照明と幕間まくあいのようなそれらは、

目覚めと眠りを往来ゆききするわたしたちに

現実と夢の舞台を踏ませます。

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