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第58話:三巨頭の女・3

「エイジ。大丈夫でしたか?」


 心配そうにミアとリリムが駆け寄ってくる。


「ああ。問題ない」


 俺は短く答える。


「怪我とかしてません?」


 ミアは俺の身体をペタペタと触る。まるで子供のような扱いだ。


「おいっ! 止めろっ!」


「あっ! すみません……。つい……」


 ミアは少し顔を赤くしながら手を引っ込める。


「まあいいさ。それよりミアとリリムは大丈夫なのか?外には何もいなかったか?」


「はいっ! 無事です!」


 彼女は元気よく答える。どうやら本当に何ともないらしいな。


「しかし……三巨頭を相手にするのは面倒だな。あの兵藤というヤツは話にならなかったが、さっきの女は結構厄介だったぞ」


 俺は先ほどの戦いを思い出していた。


「エイジでも苦戦した相手がいたのですか」


 リリムもわずかに表情を崩す。


「ああ。正直焦ったよ。まあ結局は俺が勝ったがな」


 俺は苦笑交じりに言った。


「さすがです! エイジはやっぱり強いですねっ!」


 ミアは嬉しそうに微笑む。

 その笑顔を見て俺はホッとした気持ちになった。やはり彼女はこうでなくてはな。


「あの女にやられた箇所があっちこっち痛むな」


「そうでしょうね。リリムもエイジの強さを理解しているつもりでしたが……まさかそこまでの実力者とは……」


 リリムは複雑な表情をしている。おそらくあの女との戦闘で何かを感じ取ったのだろう。


「まあ……それはともかくとして……だ。ミア。これからどうする?俺はもう帰ろうと思っているが」


「えっ!? 帰ってしまうんですか!?」


「ああ。あまり長居してもしょうがないしな」


「そうですか……。わかりました。標的がいない以上、ここに長居しても仕方ないですね」


 彼女は少し残念そうな表情を見せたがすぐに笑顔を見せてくれた。


「その通りだ。俺にとっては勇者狩りが元の世界に戻る条件だし」


「ちょ! 待ってくださいよエイジ〜」


 ミアは慌てた様子でついてくる。

 その後ろをリリムが静かについて来ていた。

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