「エイジ。大丈夫でしたか?」
心配そうにミアとリリムが駆け寄ってくる。
「ああ。問題ない」
俺は短く答える。
「怪我とかしてません?」
ミアは俺の身体をペタペタと触る。まるで子供のような扱いだ。
「おいっ! 止めろっ!」
「あっ! すみません……。つい……」
ミアは少し顔を赤くしながら手を引っ込める。
「まあいいさ。それよりミアとリリムは大丈夫なのか?外には何もいなかったか?」
「はいっ! 無事です!」
彼女は元気よく答える。どうやら本当に何ともないらしいな。
「しかし……三巨頭を相手にするのは面倒だな。あの兵藤というヤツは話にならなかったが、さっきの女は結構厄介だったぞ」
俺は先ほどの戦いを思い出していた。
「エイジでも苦戦した相手がいたのですか」
リリムもわずかに表情を崩す。
「ああ。正直焦ったよ。まあ結局は俺が勝ったがな」
俺は苦笑交じりに言った。
「さすがです! エイジはやっぱり強いですねっ!」
ミアは嬉しそうに微笑む。
その笑顔を見て俺はホッとした気持ちになった。やはり彼女はこうでなくてはな。
「あの女にやられた箇所があっちこっち痛むな」
「そうでしょうね。リリムもエイジの強さを理解しているつもりでしたが……まさかそこまでの実力者とは……」
リリムは複雑な表情をしている。おそらくあの女との戦闘で何かを感じ取ったのだろう。
「まあ……それはともかくとして……だ。ミア。これからどうする?俺はもう帰ろうと思っているが」
「えっ!? 帰ってしまうんですか!?」
「ああ。あまり長居してもしょうがないしな」
「そうですか……。わかりました。標的がいない以上、ここに長居しても仕方ないですね」
彼女は少し残念そうな表情を見せたがすぐに笑顔を見せてくれた。
「その通りだ。俺にとっては勇者狩りが元の世界に戻る条件だし」
「ちょ! 待ってくださいよエイジ〜」
ミアは慌てた様子でついてくる。
その後ろをリリムが静かについて来ていた。