元始天尊の体から
「
「
「──っ!」
その瞬間、准胝観音は糸で縫い付けられたように動けなくなってしまった。
金縛りだ。
「准胝の
普賢菩薩は呉鉤剣を握りしめ
金縛りさせたのは准胝観音だけなのに、普賢菩薩の心の奥底にある、
「貴様らなぞ釈迦に比べたら小虫のようなものよ!」
普賢菩薩と准胝観音の恐怖心を得たのだ。
「隠しても
「……っ、くそ!」
准胝観音は
金縛りのせいで声さえ上手く出せない。
観音菩薩も文殊菩薩も、その恐怖心に抗えず、誰一人
釈迦如来のもとで過ごした准胝観音たちは、
そして先ほど観音菩薩たちが競い合い消し去った黒大蛇などが小蛇と思えるくらいの大きさになってしまった。
「すべてひと飲みにしてくれるわ!」
それは黒く禍々しい気体を発していて、触れた清浄の間の床を溶かした。
「玉龍、やれるか?!」
「……ゴクウ、ごめん、ボク無理だよ、アイツ、毒持ってるもん……怖いよ」
玉龍は
「わかった、お前はお師匠様を頼む。八戒、悟浄、いくぞ!」
「……ああ、准胝ちゃんの仇、とってやる!」
「二人とも、あれは毒液を飛ばしてくるから気をつけろ!」
孫悟空を先頭に、玄奘の弟子たちが
「ははは、蟻のようだな。踏み潰してくれようか!」
「……っ、なんだこの音は!」
「頭がおかしくなりそうだ」
シャラシャラとなるその音は耳のいい孫悟空たちを苦しめた。
しかも猪八戒の姿は豚の頭に戻ってしまった。
唯一動けるのは沙悟浄のみ。
彼は猿と豚にくらべたら、耳の聞こえはそれなりだからだ。
(
沙悟浄は
以前、沙悟浄の義子である青鸞童子は玉龍との戦いのときに、猛禽の本能で彼を追い詰めたことがあるのだ。
そこまで考え、沙悟浄は首を振った。
なぜここにいない青鸞童子に頼ろうとしたのか、と沙悟浄は頭をかいた。
(あれの音は無意識に弱気にさせてくるな。ならば)
玄奘の錫杖の音が打ち消している間は平気だが、二つの音は拍子が違う。
どうしてもできる音の空白に、
「お前たち、耳を塞げ!あの尾の音を聞くな!」
沙悟浄はそういうと
天界での戦いで、
だがこれほどまでに大きな毒蛇と対峙するのは初めてのことだが。
「玉龍、できたらお師匠さまに錫杖の拍子をあげるよう言ってみてくれ!」
「わかった!」
尾の音をなんとかしなければ、孫悟空も猪八戒も動けないだろう。
集中している玄奘に玉龍の声が届くとも思えないが、何事も打てる手は全て打っておくのがいいだろう。
沙悟浄が
「こざかしいわ!」
「ぐぅっ!」
それに気づいた
「なんの、これしき……っ!」
宙へと弾かれた沙悟浄は口から血を吐きながらも、清浄の間の壁に衝突する前に体制を変え、壁を蹴って