教室の窓から見える空は、いつだって灰色の光を放っていた。
巨大な球体の
現在の地球の為政者こと
この世界では、思考停止が美徳とされた。
放課後の教室で、級友たちはスマホを眺めていた。彼らは、ニュースアプリに表示された、
【今日の精神エネルギー量:管理区域23-β、成長率89%】
という見出しを見ても、眉一つ動かさない。
ただ「へえ」「すごいね」と呟くばかりだ。
この数字が何を意味しているのか深く考えようともせず、まるで感情を失った人形のようだった。
俺は机に突っ伏しながら、小さく呟いた。
「くだらねぇ……」
教室のスピーカーから、朝の放送が流れてくる。
いつもの「忠誠ポイントのお知らせ」だ。
「本日の課題:
スマホを握る級友たちの指が、まるで機械みたいにカタカタ動く。誰も文句ひとつ言わない。まるで、頭の中が空っぽのロボットだ。
窓の外では、監視ドローンがブーンって不気味な音を立てて校庭を旋回してる。
銀色のボディに赤い光がチカチカ光って、まるで俺たちを睨んでるみたいだ。
ドローンはご丁寧に毎日、朝7時と昼12時にピッタリ現れる。
まるで「逆らうなよ」って脅してるみたいに。
昨日、コンビニで買った弁当のパッケージにも、「
噂じゃ、弁当の中のチップが俺たちの生活習慣を記録してるらしい。
俺たちは家畜かよ。
なのにだ、むしろ健康に良いからとかいって誰もそんなこと気にしてねぇ。
街中の電光掲示板には、「服従のなかにある幸福」「無意識という平和」なんてスローガンが24時間流れ続けてる。
大手メディアも、企業も、まるで
この世界、全部が灰色だ。
空も、人も、未来も。誰も疑問を持たねぇ。誰も戦おうとしねぇ。
けど、俺は違う。
俺は、こんなクソくらえな世界を終わらせる、
具体的な策を、何年も何年も『妄想』し続けているからな。