「電話での報告で良いのに、わざわざ殴りに来た理由を聞かせてもらおうか??」やっと顔をあげた新がふてぶてしく言う。
「なぜ、そんなに偉そうなん?」呆れた光司がため息混じりに聞く。
「依頼主で料金を払ってるからだろう?」ニヤつきながら言う。
「はい。はい。殴った理由か‥‥‥‥まずは、花音ちゃんが、可愛いかった。今日1日で類君のパパになっても良いとさえ思ったからかな??」
「はぁァァァ?!ふざけるなよ!!」新が眉間に、ガッツリ皺をよせて光司を睨みつける。
「はぁァァァ?!お前に怒る権利がねぇよな!!」
新は何も言わずに、そのまま光司を睨みつける。
「ふーん。新だけじゃなくて光司まで惹き寄せる花音ちゃんに俺も会ってみたいなー。光司、写真は?撮ってるだろう?」右手を光司の前にだしてスマホを出すように催促する。
「別料金な!」っと言ってスマホを誠也の手に置こうとした時に横から手が伸びてきてスマホを盗った。新がスマホの操作をしようとするがロックが開くわけがなく、盗ったスマホを光司の前にもう一度だして「ロック解除して写真を見せて。」目も合わさずに言う。
光司がニヤっと新を見る。「類君の方がお利口でちゃんとお願いできてたけどな〜。パパもどきはお願いもできないのかな??見せてじゃなくて見せて下さいだよね。言えるかな??新くん!!」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥。写真を見せてください。」
「いいですよ。よく出来ましたね。新くん!!」光司が新の頭をグチャグチャに撫ぜる。
「やめろ。クッソ。」
ロック解除をして花音の写真を出してスマホを新に渡す。
新はスマホに穴があきそうなぐらい凝視した。
光司と誠也は新を見て動きが止まり室内は静まりかえった。
ポタン ポタン ポタン
新の目から大粒の涙が溢れてスマホに落ちる音のみが聞こえた。
2人は新にかける言葉が出てこなかった。
新が口を開くまで静かに待った。
数分が経ち新が口を開く。
「スマン。ふっ。久々に花音の笑顔がみれたよ。光司ありがとうな。花音は類をこんなに愛おしそうに見るんだな。ママになった顔も愛おしい。」
「あぁー。花音ちゃんは、愛情深く類君を育てているよ。立派にね。」
「ッスン。‥‥‥‥グス。あぁー。俺も直接見たいなー。」
「あぁ。いつか見えるように俺はお前に協力するぜ!」光司が新の肩を1回ポーンっと叩く。
「もちろん俺も」バシっと、やや強めに誠也が叩く。
肩を反対の手でさすりながら「誠也!強い。」っと溢す。
「早速だけど‥‥。花音ちゃんから聞いた情報と新の情報をすり合わせしようぜ。」光司がいつになく真剣な顔で話す。
「まず、花音ちゃんから聞いた情報を話すから誠也が書記な。」
「了解。」パソコンを準備をする。
「花音ちゃんは、妊娠に気づく前に振られた。っと言っていた。」
「はぁァァァ。違う。振られたのは俺だ。」
「まぁー聞けって!その後に、花音ちゃんは、こう言ってた。私の両親が事故で亡くなって2時間もしないうちに彼のお母様が病院に来られて言った。両親が亡くなったあなたに興味がない。連絡も会いにも来るな。関わらないで‥‥って息子が言ってると‥‥‥‥‥。ってな‥‥‥‥。」
「はぁァァァ。やっぱりアイツか!!」新は項垂れる。
「あと、気になる事がある‥‥‥‥‥‥。」
「なんだ?」新が顔をあげる。
「耀くんは、事故の記憶だけが抜け落ちてるって」
「あぁ。ソレは知ってる。」
「花音ちゃんは、事故の記憶だけが抜け落ちてるはずなのに、なぜか類の父親の記憶もない。って言ってた。」
3人とも口を閉ざす。
「それは、事故に俺の関係者が関わっているという事かー」
「たぶんな。それと、もう1つ重要なのが、それを花音ちゃんが気づいてることだ。」
3人ともが、また口を閉ざす。