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第24話 再会①

こんなに寝れない夜は‥‥‥花音から別れを告げられたと知った日以来だ。まぁー嵌められただけだったんだけど‥‥‥‥‥。


スマホを手に取り時間を確認する。ゔ〜ん。もうすぐ2時か‥‥‥‥。明日のために23時にはベットに入ったが、全然寝れなかった。今も寝れる気配は一切ない。


はぁー。ため息をつく。

手に持ったスマホを操作して、今日貰ったばっかりの花音と類の写真を見る。


花音‥‥‥‥ごめん。涙がスーっと流れる。

花音と類の笑顔の写真を見て、そこに自分がいない事への悔しさや情なさや寂しさが入り混じった何とも言えない感情が溢れ出す。


スマホを握りしめたまま眠ってしまったのか‥‥‥目を開けスマホの画面を確認すると

そこには変わらず花音と類が写しだされていた。時刻を確認すると5時過ぎだったがベットから起き上がり浴室に向かった。


熱いシャワーで眠気は飛んでいったが、緊張感

は増していく。緊張で気持ちが悪い。胃がひっくり返りそうな感じだ。こんな経験は今までに1度もない。

目を瞑り深呼吸を1つして覚悟を決める。

目をあけて「ヨシッ」っと小さく声に出す。


花音の連絡先を知らない。まさかインターホンを鳴らすわけにはいかないので待ち伏せするしかない。マンションの入り口前のビルの1階にコーヒーショップがあったな‥‥‥‥そこで、出てきてくれるのを待つしかないな。


9時ぐらいに行けば良いかーっと、浴室から出てソファーに座る。


今日は、ただ会えれば良い。話をわかってもらえるまで何度も会いに行けば良い。

時間が過ぎるのが遅く感じ緊張を紛らわすためにパソコンの電源を入れて仕事をする事にした。


7時過ぎに誠也からメッセージが入る。

念の為に和食料理屋「紫陽花」に予約を入れている。夜でも昼でも好きな時間に使える。

と‥‥‥‥‥‥‥。


そっかー。もし今日、話を聞いてもらえる事になれば個室が必要になるな。

ふっ!さすが気が利くな。

「サンキュー」っと返信するとすぐに「まぁ。俺と光司と3人で行く羽目になると思うけどな!頑張れよ!」返信があり、フッと笑いスマホを机の上に置く。


着替えをする事にしたが、服装で迷う。

スーツにしようかとスーツに手を伸ばしたが手をとめる。スーツは堅くないか??

カジュアル過ぎるのもな‥‥‥‥‥‥。

ゔーーん。どうしようか?

悩んだ末に‥‥‥‥踝丈の黒の綿パンに白のTシャツにグレーのジャケットにした。

服装でこんなに悩むとは思わず、髪のセットは急ぎ気味でする。


ヨシッ。っと鏡の中の自分をみて言う。

出る前に、もう一度、姿見鏡で自分の姿を確認する。大丈夫!っと頷き玄関に向かう。

こんなに、自分の見た目、服装が気になるのは初めてだな。

フーっと息を吐く。かなり緊張してる自分に苦笑いしながら車に乗り込んだ。


花音のマンションまでの道のりは緊張で胃がキューっと痛くなったり気持ち悪くなったりを繰り返す。こんな事は初めてで、緊張し過ぎると唾液が湧いてくるように出てきて人のカラダって心と直結してるんだと身をもって知った。

車を近くのコインパーキングに停めてコーヒーショップに入る。

コーヒーを頼みマンションの入り口が見える場所に座る。


とりあえず落ち着こうと、コーヒーを一口飲む。勿論、味なんてわからなかった。

スマホやパソコンを見ていて見逃していけないので、じっと入り口だけを見ていたいが店員に怪しまれてはいけないからノートパソコンを開いて電源をつけた。


ヤバっ。

カモフラージュで付けたノートパソコンに顔を近づけて顔を隠す。


ふー。息を吐く。

光希が出かける所だった。マネージャーがコーヒーショップにコーヒーを買いに来てたのか、こちらの方向に向かって手を振った後、コーヒーを2つ持ったマネージャーと車に乗り込んだ。

見つかったかと思った。心臓がバクバクしてる。ハァー。ノートパソコンを念の為に開いていてよかった。

光希が仕事に出かけた事にもホッとした。最悪、光希も一緒の時に声を掛ける事も想定していたが‥‥‥‥‥。光希は俺の記憶がない。俺が類の父親だとわかると事故に俺の関係者が関わっている事が光希にも分かってしまうだろうから、出来る限り光希と一緒の時は避けたかった。

何より、それを花音が望んでいると思うから。


その後も、コーヒーを追加で購入しながら花音達が出てくるのを待った。

もう1回、コーヒーを購入しに行こうかと席を立とうとした時に類がマンションのロビーを走っているのが見えた。

バッバッとノートパソコンをしまい走って店を出た。


走ろうとしている類の手をつないで花音がマンションから出てきた。

マンション前で声をかけるのをためらう。住民に見られて花音達が噂の標的されてはいけない。2人から少し離れて歩いてついていくことにした。

近くの小さな公園に着くと類は花音の手を振り払って砂場に一直線に走って行く。

花音が類の後を追って砂場に行きオモチャを鞄から出して類に渡す。

類はオモチャを手に、楽しそうに砂で遊びだす。

幸い近くには誰もいなかった。声をかけるチャンスだけど‥‥‥‥緊張からか足が、なかなか動かない。

フー。息を吐き、意を決して花音に向けて足を進める。

一歩一歩、花音に近づく。

花音が足音に気付き、振り返った。

その時、目が合った2人は数秒、動きがとまった。

一瞬、時間が止まったように感じた。

「花音。」やっと声を発したが名前を呼ぶだけが精一杯だった。

俺の声かけにハッとした花音は、急いで類の所に行き抱き上げて、こっちをキリっとした目で見てくる。

あ〜。何か勘違いをしている。勘違いさせてしまっている自分が悪い。わかってる。けど、現実に昔とは違う目で見られるとショックを受けている自分がいた。












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