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第25話 再会②

ショックを受けてる場合じゃない。まずは、花音が思ってるだろう誤解を解くのが先決だ。

「花音。」もう一度、名前を呼ぶ。少し間があって「はい。」っと小さい声だったが返事が聞こえた。花音の声だ。それだけで、目に涙が溜まってきてるのがわかる。

「大丈夫。君から類を奪ったりしない。絶対にしない。約束する。」

花音の目を見て話す。

「‥‥‥‥‥‥。だったら‥‥‥どうして?」

花音が類を抱きかかえて言う。

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。」

説明したいが‥‥‥‥何て言えば良いのか言葉が出てこない。何か言わないと‥‥‥‥花音が去っていくかもしれない。焦れば焦るほど言葉が出ない。そのかわりに目から涙が流れる。

花音が俺の涙を見てビックリしているのがわかる。

「‥‥‥‥あら‥たさん‥?」

花音が俺の名前を呼んだ。もう、呼ばれる事はないと思っていたのに‥‥‥‥‥‥。そう思うと涙は止まらない。

「‥‥‥‥花音。お願いがある。俺の話を聞いて欲しい。」

「‥‥‥‥‥‥。」時間にして数分だったが俺には数時間にも思えた。

「はなし‥‥‥‥ですか?」

「あぁ。ゆっくり話せる店を予約してある。勿論、類も一緒に。類を奪ったり今の生活を壊したりはしない。約束する。だから‥‥‥‥お願いします。」頭を下げる。

頭を下げる行動に花音は驚き焦られせてしまった。

「えっ。新さん。顔を上げて下さい。困ります。」

それでも、俺は頭を下げたままだった。

「分かりました。行きます。」

「卑怯な事をしてごめん。それでも花音に話を聞いて欲しい。」

「‥‥‥‥‥‥。分かりました。ただ、光希が14時には帰ってくるので、それまでには私達も家にいないといけないです」

「わかった。必ずそれまでには家に送るよ。」


涙を手で拭ってから、類に話かける。

「こんにちは。類!」

類は花音の胸に顔を押し付けて俺を見ない。

それでも、間近で見る類に、また目に涙がこみ上げてくる。

ゆっくり類の後頭部を撫ぜる。

「車を近くに停めているから俺の車で行こう。良い?」

「‥‥‥類のチャイルドシートはついてないですよね??」

右手を自分の額に当てて空をみる。

「チャイルドシートか‥‥‥‥全然‥‥気がつかなかった。ごめん。」

「いいえ。タクシー呼びましょうか?」

「タクシーはチャイルドシートはいらないのか??」

「はい。義務付けはないのですか安心のために、いつもチャイルドシートがついてるタクシーを利用してます。」

「へぇー。そんなタクシーがあるのか。タクシー呼んで欲しい。お願いする。」

「はい。」

花音がタクシー会社に電話してる間に誠也にメッセージを送る。今から3人で紫陽花に向かうから店に連絡を入れて欲しい事と、チャイルドシートが付いていないからタクシーで向かうこと、俺の車にチャイルドシートをつけて紫陽花の駐車場に停めておいて欲しいとを伝える。

誠也からすぐに「了解」っと返信がきた。これで帰りは送れるな。


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