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第32話 飲めない缶コーヒー②

「長崎君は茨木の大学だよね?」

「はい。」

「出身も?」

「いえ。出身は長崎です。」

「えぇー!!すごい。長崎君の出身が長崎だって!!」

「はぁ?!何がすごいん?」呆れたように将太君が言う。

「あ〜。すごくはない。偶然!」って祐希君も言う。

「えぇ~なんか、すごいよね?ね?」

「あい。」愛梨奈だけが同意してくれる。

さっきまで愛梨奈が返事すると笑いがおきてたのに今回は誰も笑ってない。えっ。えっ。キョロキョロ周りを見渡すが誰も笑ってない。なんでー???

「愛梨奈、全然すごくない。偶然。わかったよね?ね?」っと将太君が真剣に言うと‥‥‥

「あい。」っと愛梨奈が答えて‥‥‥その場が湧く。

なんか‥‥‥腑に落ちないけど‥‥‥まぁ〜いっかー。って思っていると‥‥‥「よく、なんかすごい。って言われます。」っとこっそり照れくさそうに笑いながら教えてくれた。

照れくさそうなはにかんだような笑顔が‥‥‥なんかグッときてしまった‥‥‥‥。この‥‥グッとはなに?どんな感情??わからない!!考えないようにしよ!!


いっぱいお肉も食べてデザートは差し入れのイチゴ。

セルフで皆が各々、飲みものを準備する。

なにも言わずに将太君があま〜いカフェオレを入れて持ってきてくれた。

「ありがとう。」

「どういたしまして!愛梨奈はイチゴ食べれる?」

「スプーンでつぶしたら食べれる!めっちゃ好きよ。」

「あっ。長崎君はなんか飲む?紅茶・コーヒー・緑茶があるよ。」

「自分でします。」

「イヤイヤいいよ。何する?」

「コーヒーでお願いします。」

「甘いの?ブラック?」

「ブラックでお願いします。」

「ブラックってカンジやね。」

「そうですか‥‥‥‥。リサさんは甘いのんってカンジがします。」

えっ。なに‥‥急に日本代表からリサさんって呼ばれた。皆がそう呼んでるからだよねー。絶対にそうだけど‥‥‥‥。なんかヤバイ。

「うん。ブラック飲めないの。」っと言うと‥‥‥長崎君からの視線を感じたので顔を向けると小さい声で

「よかった。」って言ってた。

ブラックコーヒーを入れに席を立つ。よかったって‥‥‥もらった缶コーヒーの事かな??悩んでくれたんかな‥‥‥‥。


ブラックコーヒーを渡す。

「ありがとうございます。」

「イエイエ。」


「リサさん見て見て」っと祐希君に呼ばれる。

「なに?」

「愛梨奈にイチゴをあげたら‥‥‥渋い顔をする。」

将太君が潰したイチゴをスプーンであげると‥‥‥

しぶーい顔して‥‥プルプルっと体を揺らす。

みんなが爆笑する。

「すっぱいんやね。でも、好きなんよ。」って笑いながら言う。

「かわいい。」って長崎君の声がして‥‥‥‥振り向くと‥‥‥長崎君が愛梨奈を見ていた。

「フフフ。ありがとう。また、抱っこしてあげてね。喜ぶよ。」って言うと‥‥‥

「良いんですか??」

「ダッメー!」っと腕で大きくバツをつくり将太君が答える。

「えっ。何??ぜんぜんいいよ。むしろ日本代表に抱っこしてもらったら写真をとろう!!」

「「「オレも日本代表!!!」」」って3人がハモリ‥‥‥

「フッ!!そうだった!毎日、日本代表に抱っこされてた!」ちょっとおどけて言ってみるけど‥‥‥3人とも笑わない!!!!

「えーー何で???」

「「「何が???」」」また、ハモる。

「何もありません。」っとちょっと拗ねた風に言う。

ワイワイやって‥‥‥‥明日も練習あるので解散する。


片付けをする間、愛梨奈を抱っこ紐に入れて‥‥って思ってたらガラっとドアがあき将太君が戻ってくる。

「忘れもの?」

「いや。愛梨奈をみとくよ。」

「あっありがとう。疲れてないの??」

「大丈夫。」

「そっかー。」

将太君は愛梨奈横に座り‥‥‥絵本を読み聞かせてくれる。

その間にパーっとあと片付けをしてしまう。

キャーっと愛梨奈のテンションのあがった声がずっと聞こえてくる。

「おまたせ。」って将太君の前のイスに座る。

「あっあっあっ。」っと愛梨奈が早く読めと手もバタバタさせて言う。

「将太くん。」

「うぅん?」

「何かあった??」

「別にない。」

「ふーん。そっかー。」

「あしたは朝練はある?」

「自主練になるけど‥‥奈良のヤツはほぼすると思うけどな‥‥‥‥八戸と長崎はわからんけど‥‥‥長崎はしそう。」

「あ‥‥しそうやね。誰よりも早く始めてそう。フフフ。」

「真面目やからな。」

「うん。まじめそう。フフ」

「あと、柔道がめっちゃ好き。1番好きかもな。」

「‥‥‥‥‥そうなかー。将太君も大好きじゃん。」顔あげて将太君を見る。将太君がすぐに目線を落とす。

「‥‥‥‥。うーん。好きだけど思い通りならなくて、もう、いいや!って時がある。アイツはないんじゃない??」

「そうなんだー。」

「うん。」将太君を見て無理やり目を合わせる。

「でも、それって好きすぎて愛が伝わらず思い通りならなくて、もういやーってなるけど、考えて考えてやっぱり好きってなって戻るでしょ?だから、大好きってことよ!将太君も柔道を負けないぐらい好きよ!絶対!!」

急に声をあげて笑いだす。「ハハハハハハ。リサさんはほんとうにすごいよね。」

「はぁ??何が??」

「そういう計算してないところもいいよ!!」

「えぇ~?!褒めてる?」

「フフフもちろん!」

「じゃーいいやー。」

「部屋に帰ろうー」愛梨奈のほっぺをコネコネしながら将太君が言う。

「うん。」愛梨奈を抱っこすると

「あ〜ん。あ〜ん。」愛梨奈が泣き出すが‥‥‥??

なんか変!!将太君も気づいたみたいで振り向く。

「「なに?」」ブッワハハハハハ。

「絶対にウソ泣きやったよね??」

「うん。何??」将太君が涙が出るほど笑っている。

「いや〜将太君に抱っこしてほしかったんかな??」

「そっかー。愛梨奈おいでー。」

「キャキャキャ」

「めっちゃ嬉しそうやな。かわえぇーヤツ」

「お〜い!お母さんより将太君。もう!」

愛梨奈のせいで将太君が部屋の前まで送ってくれる。

「おやすみ。ありがとうね。」

「おやすみ。愛梨奈〜バイバイ。」

愛梨奈を受け取ると‥‥‥‥

「あぁ〜アアア。」今度は本気泣きをしだす愛梨奈に苦笑いしながら部屋に入る。

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