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第40話 また、迷惑を‥‥‥

理事長室に入ると愛梨奈を抱っこして真央さんが立っていた。表情がいつもの真央さんでは、あきらかに違った。

きっと、かなり重大な事が起きたんだと感じ取れた。

きっと将太君も才木監督も感じ取った様子で、いつも、おしゃべりな才木監督が1言も発せなかった。


真央さんが口を開く。

「羽野君も来てくれたんだね。ちょうどよかった。3人とも、まずは座って。」

ソファーに3人で座る。その前のソファーに愛梨奈を抱っこしたままの真央さんが座る。

空間がピリついているのがわかる。愛梨奈以外の全員が緊張していた。

「コレを見て欲しいんだけど‥‥‥‥」っと真央さんが出してきた紙を見て‥‥‥‥‥‥


3人とも、数秒絶句した。静まりかえった空気を変えたのは将太君の声だった。

「何だよコレ?意味わかんねーだろ?ウソばっかりじゃねーか!!」


見せられた紙は週刊誌の原稿のようだった。

昨日の周平に待ち伏せされた時に長崎君が手を引いて大学まで連れて帰ってくれていた写真が数枚載っていた。

【柔道日本代表候補の大学生、歳上人妻略奪】

っと見出し。

Rさんの元夫のコメントが載っていて、自分達の不倫を隠し無理やりな理由で離婚を要求されて応じると慰謝料と財産分与をとられた。と証言。

って‥‥‥‥‥元夫って周平よね?ウソばっかり。

長崎選手に突撃。っとも書いてあった。

「私とRさんと出会ったのは今回の合宿の初日になります。Rさんが、いつ離婚されたのかとか原因はわかかりませんが、そちらがおっしゃっているような事をさる女性では絶対ありません。」っとRさんを終始庇っていたっと書いてあった。記者が突撃したんだー。いつだろう?今日よね‥‥‥たぶん。何も言わずに帰って行ったんだ長崎君。本当に本当に申し訳ない。 周平がこんな事をする人だったなんて‥‥‥‥大学からの付き合いだったのに自分の人の見る目のなさで、こんなにも、たくさんの人に迷惑をかける事が悔しいのと情けないのと怒りと申し訳なさで、両膝に両手をついて震えながら泣いた。嗚咽を我慢出来ないくらい泣いた。

「リサは何も悪くない。」っと才木監督が背中をポンポンっとしてくれる。

「リサさん。こてんぱんにやっつけようよ!」って将太君が肩をポーンっと叩く。

「リサ、ここは戦って行こう。このまま、のらりくらりしているとい相手が、また仕掛けてくる絶対にね!」真央さんが涙ぐみながら話してくれた。


前を向いて返事をしようとするけど嗚咽が止まらない。

「うっ‥。ヒっ。うっ‥。たたっ‥‥かっ‥‥いたっ‥‥い。」


「うん。やろう。ほら!泣かないよ。愛梨奈がビックリしてるよ。」っと真央さんがハンカチを差し出してくれる。それを受け取り涙を拭く。ハンカチを握りしめて何とか泣き止む事ができた。


「周平を訴えたい。」真央さんの目を見て言った。

「よく言った!えらいよ。もちろん奈良大学としても日本柔道連盟としても茨城大学としても訴える。ソレとは別にリサ単独でも訴えよう。」

えっ‥‥‥‥‥。色んな組織が動いてくれるんだな‥‥‥‥申し訳なさで真央さんを見る。

「大丈夫。3組織は合同で訴えりるから、うちが仕切るから、茨城大学さんや連盟にすごく手間をとらすわけじゃない安心して。費用も全てうちが出すけど裁判に絶対に勝つからその費用よりもプラスでぶん取るから大丈夫よ。」

申し訳ないと思っていた事を察して説明してくれた真央さんに「ありがとう。」っと涙ながらに何度も伝えた。




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