「うっ、えぇーん。えーん。うぇーん。」
ずっと大人しくしてくれてた愛梨奈が泣きだす。
真央さんが抱っこしたまま立ち上がってあやす。
「ごめね。泣かないでね。待っててくれてありがとう。」真央さんが愛梨奈に話しかけてくれている声が優しくて私にも響く。‥‥‥‥愛梨奈は泣き止んでくれたけど、かわりに私が、また号泣した。
私が落ち着くまで、待ってくれてから真央さんが話しだす。
「弁護士さんはうちの弁護士さんにお願いしても良いかなーっとも思うけど、経緯をよく知ってる。マリちゃんのダンナさんに大学側の弁護を頼めないかな??リサは藤川先生がいいと思う。」
「はい。私は藤川先生と隆君にお願いしようと思ってたので大学側が隆君で頼めるか今から電話で聞いてみます。」
「うん。お願い。」
ポケットからスマホを出す。
不在着信のアイコンがついていてビックっとする。
きっと周平だ。本当に嫌になる。1度は好きになった人なのに。
不在着信のアイコンをタップする。えっ!えっ?ウソー?!どうしよう??
「何かあった?」将太君が心配そうに聞いてくれる。
「あっ。ううん。大丈夫。隆君に電話しよう。」
隆君の番号を表示して通話を押す。
ルルルルルル ルルルルルルルル ルルルルルルルル
着信音がなっている間も、不在着信の表示名が頭から離れず心臓の音が大きいように思えて落ちつかなかった。
「もしもし??どうした?また、周平か?」隆君は出るなり、矢継ぎ早に質問してくる。それが、いっぱい心配かけてるんだなーっという申し訳なさと、いつも心配してくれてるんだなーっという安心感を感じらとれた。
「うん。また大変な事になったよ。ごめんね。今日からお休みだよね。」少し涙ぐんでしまった。
「うん。休みだけど大丈夫!どうした??」
「昨日の出来事の時に長崎くん、あっ、長崎くんって日本代表の茨城大学の生徒で昨日、助けてくれて手を引っ張って連れて帰ってくれた子なんやけど、その手を引っ張ってくれている所を週刊誌に撮られて記事が出てしまう。それで、周平が元夫として嘘ばっかり言ってるんよ。記事は明日、出る。」
「わかった。周平はそこまで落ちてしまったんだな。もう、友達でも、知り合いでもなくなったわ。とりあえず、記事の内容を送ってくれる。週刊誌の名前は?」
「分かった。すぐに送るね。週刊分砲。」
「あ〜。あそこか〜。」
「で!うちの大学と日本柔道連盟と茨城大学が合同で出版社と周平を訴えたい。その弁護を隆君にお願いしたい。それとは別に私が出版社と周平を訴えたい。その弁護を藤川先生にお願いしたい。無理かな??」
「はぁァァァ?ムリなわけない。絶対にやる!!藤川先生にもすぐに伝えて所長の許可もとるから、すぐに記事の原案を送って」
「ありがとう。すぐに送ります。」
「うん。準備したらオンラインでつなげよう。2時間後ぐらいかな‥‥‥‥。それまでに、ご飯とか愛梨奈ちゃんの事をしてあげて!!」
「うん。わかった。ありがとう!!マリに年末休みにごめんって伝えて!」
「うん。気にするな!!」
電話を切ると真央さんが近づいてきて聞く。「なんて?」
「弁護は引き受けてくれるって!とりあえず、この原案を送ってと言われたので写真を撮って送ります。藤川先生と事務所の所長と相談してからオンラインで繋げて話しましょうって‥‥‥‥あと2時間後ぐらいに繋げられるって!!ご飯と愛梨奈の事をしないと‥‥‥‥‥‥。」
とりあえず、急いで写真を送る。
「あっ!」大変な事を思い出し声がでてしまった。
「どうした??」私の大きめの声にビックリして才木監督が聞いてくれる。
「大変な事を思いだしました。今日は食堂のスタッフが作ってくれる日になってるんだけど‥‥‥‥。
どうしよ?!今日は部屋で自分達のご飯を作ろうと思って食堂に頼んでなかったんです。今からご飯の準備したら2時間で愛梨奈を寝かすまでできないです」
「愛梨奈のはあるん?リサだけなら、デリバリーしといてやるから、先に愛梨奈の風呂をしてこい!」才木監督が言ってくれる。
「ありがとうございます。愛梨奈のはあります。」
「俺のも頼んで!!」将太君が便乗してくる。
「はぁァァァ?やだね。」
「ケチッ」
パンパンパン。真央さんが手を叩き
「私がみんなの分を頼んであげるよ。裁判に勝つようにトンカツを頼んでおくから、それまでに他の準備をしてきて!終わったら、ここに集合ね。」
【は〜い!ありがとうございます。】