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第42話 折り返し‥‥‥‥。

真央さんから愛梨奈を受け取り、監督と将太君と理事長室を出た。

寮までの道のりは‥‥‥才木監督がずっと、しゃべっていた。私と将太君が話す様子ではなかったから気を使ってくれたのだろう。話はほとんど入ってこなかったけど‥‥‥気づかいがうれしかった。こんな迷惑ばかりかける寮母なんて‥‥‥いらない。怒られてもおかしくないのに。皆で守ってくれようとするのが嬉しかった。昔の私なら‥‥‥‥私が‥‥‥‥長崎君と買い物に行ったから悪いんだと‥‥‥‥自分のせいにして大学を去る事しか考えなかったと思う。だけど、今は違う!!一緒に戦ってくれて支えてくれる人がたくさんいる。たぶんだけど‥‥‥‥ここに私が必要だと思ってくれる人が数人はいる気がする。私で役に立つならここで、学生達を支えていきたい気持ちがある。

だから絶対に負けない。


部屋に戻って急いで愛梨奈をお風呂に入れた。風邪を引かないようにモコモコの服を着せて‥‥‥たっぷりミルクを飲む。お腹空いてたね‥‥‥‥。ごめんね。

愛梨奈の離乳食の準備とノートパソコンをカバンに詰める。

ピリリリリリリリリリ

着信音にビックリした。あーそうかー。真央さんの電話に気づかなかったダメだから音の設定をしたんだった。慌てて画面を見るとマリだった。

「もしもしマリ?」

「うん。リサ?大丈夫?何があったかは知らないけど‥‥‥‥‥。」とうぜん隆君から聞いて知ってると思っていた。

「えっ?聞いてないの?」ビックリして返す。

「うん。守秘義務があるからって‥‥‥‥‥。リサからの着信があった時に一緒にいて‥‥‥‥電話の途中で自分の部屋に行って、リビングに戻ってきたら、すぐに事務所に行っちゃった。」

「マリ。せっかくの年末休みにごめんね。実は‥‥‥」あった事を話す。

「ほんまにムカつく。アイツがそこまで最低なヤツとは思わんかった!ホンマに最低やな!!リサ、どんどん隆を使ってアイツも出版社も懲らしめよう!!ぜったいに!」

「うん。ありがとう。海君‥‥‥せっかくのパパのお休みやったのにごめんね。」

「大丈夫!!隆の事務所はホワイトだから、落ち着いたら振り替えの休みがもらえるよ!!年末年始は、どこに行っても人が多いからズレて休みが取れる方が良いよ!!こっちは大丈夫だから!!リサこそ大丈夫??」

「うん。いっぱい支えてくれる人達がいるから!大丈夫!」これは、いつもの強がりじゃない。それが、マリにも伝わっているみたい。

「そっかー。リサが奈良に行って寂しいけど、リサは奈良に行ってイキイキしてるよ。強くなったし、行ってよかったね。」

「うん。ここに来て、いろんな人に出会えてよかったよ。」

「そうだね。忙しいんでしょ。頑張ってね。何でも力になるから言ってね。落ち着いたら会おうね。」

「うん。ありがとう。会いたいね。こんなにマリに会ってないのも初かもね。」

「うん。話したい事が私も山盛りだから、隆に早く片付けてもらおーね。」


電話を切ると‥‥‥‥さっきの不在着信が気になりもう一度、着信画面で確かめる。

長崎君からだった。時間的に見送った直後に記者の突撃にあってるよね。はぁー申し訳ないなー。すぐに、折り返しの電話をして謝ろうと思うけど今は、ゆっくり話せないよね。

イロイロ決まってから電話をかけ直そう。その方が時間を気にせずに話せるね。

そう思ってスマホを机に置こうとした時に真央さんから電話があり、また急いで理事長室に行く。ちょうど玄関で将太君に会って一緒に向かう。


理事長室に入ると才木監督がもうトンカツを頬張っていた。その姿に少しホットした。

「めっちゃ食ってんじゃん。」将太君が呆れた様子で言う。

「はぁ?!当たり前だろ!!戦いには、まず腹ごしらえが必要だろ!」ってニヤっと笑う。

「はぁァァァー。監督だけ緊張感がなくていいっすね。」っと、将太君がドサッとソファーに座る。

寝てしまった愛梨奈をベットで寝かしてからソファーに座る。待っててくれた将太君と一緒に手を合わせてからトンカツを食べる。

「あっ。そうそう。弁護士さんとのオンライン打ち合わせは、連盟と茨城大学も参加するね。弁護士さんには連絡済みだから。」真央さんが言う。

「わかりました。」

「あっ。茨城大学には長崎君も参加するって」

「えっー。そうなの?」ビックリして返す。

「うん。当事者だからね。本当だったら今日、大阪から長崎に帰る予定だったみたいだけど、記者に突撃されて一旦、大学に戻ったほうが良いかな??って思って茨城に戻ったみたい。ほんと冷静な子だよね。」

「そうなんだー。迷惑かけちゃってるね。」ボソッと呟く。落ち込んでる私の背中をバシっと将太君が叩く。「迷惑かけたんは元夫であってリサさんではない!!」っと言って慰めてくれる。

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