「ああ、ああ。もー、勢いよく開けるからですよ」
ある日の放課後の
「……ごめんなさい」
「え? あ、はい」
しゅんとした涼香の姿に戸惑いながら、涼音は落ちたポテチを拾い集める。
涼香も、のそのそとゆっくりな動きで拾い集める。
しばらく無言の時間が続き、ぶちまけられたポテチの量が少なくなっていく。
そして、もうほとんど無くなった頃、涼音が口を開く。
「……どうしたんですか?」
「どうしたって、なんのこと?」
涼音の質問の意味が分からず、キョトンと首を傾げる涼香。
「なんか先輩のテンション低いなあって」
「そうかしら? 別にいつも通りだと思うけど」
「ならいいんですけど……」
涼香はああ言っているが、明らかにいつもと様子が違う。涼音の部屋に来た時は「お菓子パーティーよ!」と目をキラキラさせていたのに。
「強いて言うなら、自分に嫌気が差した……というところかしら」
「あ、いつも通りですね」
心配して損した。
「どうだった?」
自信に満ち溢れた顔で涼音を見てくる涼香。
「しゅんとしている私の姿は!」
先程の様子がまるで嘘だったかのような(実際まるで嘘だった)テンションでドヤ顔を決める。
「普通に心配しましたよ」
「急にキャラ変するのは良くないということね」
「いや、そういう話じゃな――」
「今からキャラを変えるわ!」
「えぇ……」
聞く耳を持たない。逆になんでこんなに涼香がハイテンションなのか、涼音は怖くなってきた。
涼音が少し引いていると、ススス……涼音の隣に移動してきた涼香がいきなり抱きついてきた。
「お姉ちゃん大好き!」
「なんでそのキャラ選んだんですか!」
語気の割に表情は緩んでいる涼音だった。