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帰り道にて 2

 ある日の帰り道、いつ雨が降るか分からない曇り空の下を、涼香りょうか涼音すずねは足早に歩いている。


 涼香のリュックの、ショルダーハーネスの下部分を右手で持ちながら隣を歩いている涼音が口を開く。


「別に傘持ってますし、急ぐ必要ないんじゃないですか?」


 そう言われた涼香は、歩く速度は変えずに口を開く。


「でも傘を使うと、こうして涼音と並んで歩きにくいわ」


 それなら相合傘をすればいいのでは? と涼音は思ったが、今日は涼香も涼音も傘を持っているのだ、相合傘をすると目立ってしまう。


「まあ……確かにそうですけど……」


 渋々涼音が納得すると、涼香は涼音の右手を持ち、歩く速度を落とす。


「仕方ないわね、ゆっくり歩きましょうか」

「ちょっと、手離してくださいよ」

「嫌よ」


 すると口を尖らせた涼音は、歩く速度を上げるのだった。

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