ある日のこと。
「それではみなさん、
最後にそう言い残して担当教師が教室を去ると。
――一斉に舌打ちが響いた。
「嫉妬は見苦しいわよ」
そんなクラスメイト達を歯牙にもかけない
なぜ体育教師と養護教諭以外は涼香の本性に気づかないのか、それはこの高校最大の謎である。いや、別に謎では無い。クラスメイトや
「この問題児め……!」
クラスメイトの一人が忌々しそうにそう言う。
「私がいつ問題を起こしたって言うのよ」
やれやれと涼香は首を振り、バンッと机を叩く。
「言ってみなさい、さあ!」
「黒板掃除していたらチョークを全部粉々に割った」
「誰にでもあるミスよ」
「理科室の水道で試験管を割った」
「あれは水道の勢いの問題ね」
「あとガイコツの腕を取った。あれ戻すの大変なんだからね」
「あれには感謝しているわ」
「それなら毎回壊すのやめてくれないかな⁉」
涼香は髪を払うと腕を組んでふんぞり返る。
「問題児、と言う割には少ないわね!」
「寝坊、忘れ物、物を持ってよく転ぶしよく壊す。靴下左右違う種類を履いたり服の裏表逆だったり、道に迷ったり電車を乗り違える。保健室常連客、それから「あら、来たのね涼音」
「どうも」
「ねえ涼音ちゃん、涼香に対して困ってることはなに?」
「ここまで言っても先輩は対して問題だと思っていないことです」
涼香以外の、その場にいる全員のため息が教室の空気を重くするのだった。