「涼音すずねちゃん、お疲れ様」
ゴールで労いの言葉をかけてくれる三年生に涼音は、そういえば中身を確認していなかったな、と思いながら紙を渡す。
紙を受け取った三年生が中を見た瞬間に吹き出す。
「ぷっ――。涼音ちゃん……ナイス」
震えながら親指を立てた三年生に涼香りょうかが突っかかる。
「なんて書いていたのよ、見せなさい」
「涼音ちゃんゴールだよ。ほら、アンタはさっさと戻る」
「あ、はい。それじゃあ先輩も頑張ってくださいね」
中には一体なんと書かれていたのだろうか。気になったが、これ以上目立ちたくない涼音はすぐにその場を離れるのだった。