「先輩、もう大丈夫です」
他の走者は既にゴールしており、今は涼香と涼音だけがいる状態。凄くというか、今、体育祭の中心は涼香と涼音というレベルで目立っている。
あまりの居心地の悪さに涼音は身を捩って一人で歩こうとするが、涼香はそれを離さない。
「なんで離してくれないんですか? てかなんであたしに体重かけてくるんですか?」
涼音が大丈夫だと言った途端、涼香は涼音を支えるのをやめて自分を支えてもらおうとしていた。
傍から見ると涼音を支えてるように見えるのがなんともせこい。
「何往復していると思っているの? 少しはゆっくりしたいのよ」
「あっ……ごめんなさい」
そういうことなら仕方ない、そう自分を言い聞かせて涼香を支えながらゴールに向かう涼音であった。