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借り物競争にて 1.25

 涼香りょうか涼音すずねを支えてゴールまで向かっている最中――。


「先輩、もう大丈夫です」


 他の走者は既にゴールしており、今は涼香と涼音だけがいる状態。凄くというか、今、体育祭の中心は涼香と涼音というレベルで目立っている。


 あまりの居心地の悪さに涼音は身を捩って一人で歩こうとするが、涼香はそれを離さない。


「なんで離してくれないんですか? てかなんであたしに体重かけてくるんですか?」


 涼音が大丈夫だと言った途端、涼香は涼音を支えるのをやめて自分を支えてもらおうとしていた。


 傍から見ると涼音を支えてるように見えるのがなんともせこい。


「何往復していると思っているの? 少しはゆっくりしたいのよ」

「あっ……ごめんなさい」


 そういうことなら仕方ない、そう自分を言い聞かせて涼香を支えながらゴールに向かう涼音であった。

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