「やっぱり体調悪いの?」
競技が終わり、席へ帰ってきた
「あ〜先輩、お疲れ様です……」
涼音がのそのそと椅子から立ち上がり、涼香に座るよう促す。
「ただ心配していただけですよ。あ、
「別にお礼なんていいよ」
涼音はやってきた
「それにしても、疲れたわね」
「そりゃ涼香は走りっぱなしだしね」
「先輩また走る競技出ますよね」
「そうなの? なんだったかしら」
「「えぇ……」」
なんで覚えてないんですかね、と思いながら涼音はプログラムを確認する。
「次は……これだね」
プログラム表を覗き込んでいた若菜が涼香が次に出る競技を指さす。そして二人は同時に顔をしかめる。
――障害物競走。
障害物競走は三学年クラス対抗の競技だ。今現在やっている一年生学年競技の椅子取りゲームが終わり次第始まる。
「ねえ涼香、私と変わらない? ほら、涼香疲れてるだろうしさ」
「あなた達、ずっとそればっかりよね。私はジャンケンに勝ったのよ?」
クラスで出場競技を決めた際、障害物競走だけは涼香にやらせまいと、クラス全員が手を挙げてジャンケンで涼香を負かそうとしたのだが、涼香はジャンケンで勝ち残ってしまった。
「春田先輩の言う通りですよ、先輩結構疲れてるじゃないですか」
「涼音が変わってくれるのなら別にいいわよ」
「いや、学年もクラスも違いますし……」
そうして涼音と若菜が悩んでいると、ちょうどここねがやってきた。
「ねえ若菜ちゃん」
「どしたの? そんな深刻そうな顔して」
「あのね、
代わりの人を探そうと今から菜々美のクラスに声を掛けに行くとのこと。
「ねえここね、確か菜々美のクラスは――」
そこで涼音はまさかと気づいてしまう。
「いや、学年違いますし無理ですよ。ですよね?」
涼音は助けを求めて若菜の方を見るが……。
「いや……いけると思う。急遽だし」
助けてくれる雰囲気じゃなかった。
「もし涼音ちゃんが菜々美の代わりに出たのなら、涼香は私と変わってくれる?」
「当然よ、大人しく涼音を応援するわ」
「よしっ、涼音ちゃん!」
「えぇ……」
「お願い、涼音ちゃん」
ここねにもお願いされてしまった。涼香の怪我を防ぐためなら仕方ないと思うのだか、果たして菜々美のクラスメイトはそれを了承してくれるだろうか――。
「全然おっけー」
問題なかった。
四人で菜々美のクラスに事情を話すとあっさり頷いてくれた。
「先生には私が話すわ」
「涼香ちゃん、ありがとう」
「こういう時だけ便利だよね」
「さすが先輩」
「ふふっ、もっと讃えなさい」
そして、あっさりと先生の許可もおりたため、菜々美の代わりに涼音が障害物競走に出場することが決定した。
「じゃああたし行きますね」
「写真は任せなさい」
「頑張ってー」
「頑張ってね!」
ここねと若菜に軽く会釈して涼音は入場門へと向かうのだった。