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昼休みにて 5

 梅雨が明け、空高く昇る太陽が容赦なく身を焼く七月の昼休み。


「先輩、今度から中で食べません……?」


 額に汗を浮かべた涼音すずねは、隣に座る涼香りょうかに目を向ける。


「そうね、梅雨が明けたと思ったら暑くなるなんて……理不尽だわ」


 汗が涼香の頬を通って滴り落ちる。


「せっかく外で食べれるようになったと思ったんですけどね」


 外は教室や食堂に比べて人が少ないため、涼音は外で食べるのが好きなのだが、この暑さだとそうも言っていられなかった。


 今日は頑張ってお弁当だけは食べ切った。これでしばらくの間、外で昼食を摂ることができなくなる。


「帰りに冷水機に寄りましょうか」


 涼香が空になった水筒を逆さまに持つと、一滴の水が虚しく落ちていく。


「とりあえずあたしの水飲みますか?」

「ありがとう」


 水筒を受け取った涼香は、水を飲みだしたが、口の端から水がボタボタとこぼれていた。


「えぇ……」

「最近よくこぼれるのよ」


 口を拭いながら涼音に水筒を返すのだった。

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