ある日のこと。
涼音が家に帰ったのを見計らったかのようなタイミングで荷物が届いた。家に入る寸前配達員がポストへ投函した荷物。それを取り出した涼音は、とりあえず家に入って玄関で宛先を見る。
『
「あたしなにも注文していないけど……?」
なにも通販で頼んだ覚えのない涼音は首を捻る。
ちなみに配送は熱帯雨林から。
奇妙な荷物だが、涼音はその荷物を開けることにした。着払い詐欺なんてものを聞いたことあるが、この荷物は着払いではなかったし、開けてもまあなんとでもなるだろうと思って。
少し厚みのある緩衝材付きの封筒を開けて中身を取り出す。
中身は袋に入った、白の生地に両端が赤くなっている布だった。なにか文字が書かれているが、折りたたまれているため、『本日』という文字しか分からない。
しかしその文字を見た瞬間に涼音はその荷物の送り主が分かった。
同時に入っていた納品書を見る。そこには注文者の名前『
「えぇ……」
この後、いつも通り涼香の家に行くのだが、とりあえずツッコんだ方がいいのだろうか。
滴り落ちる汗を袖で拭いながら涼音は考える。すると微かにインターホンの音が聞えた。振り向いた涼音は、ドアのすりガラス越しに人影が立っていることに気づく。
「どうしたんですか?」
ドアを開け、インターホンを鳴らした涼香に問いかける。涼香は涼音の持っている物を見ると、ふっと笑う。そしてなにやら満足そうな顔をして近づいてくる。
「今日は涼音の部屋でゆっくりしましょうか」
「まあ別にいいですけど」
涼音は涼香を招き入れる。
お邪魔しますと入ってきた涼香は涼音を置いて涼音の部屋へと向かう。
涼音は階段を上がる涼香を慌てて追いかけるのだった。