「
「自分でもあげたら?」
「それはいつもやっているのよ」
「やってるんだ……」
ある日のこと。
なぜか顔を真っ赤にしている菜々美の前の席に着き、どうしたものかと考えを巡らせている。
「あなたはここねになにを貰ったの?」
「えっ、私? いやぁ……なんだったかなあ……?」
菜々美の誕生日は五月三日。二ヶ月前のことなのだが――。
「どうして覚えていないのよ」
はぐらかそうとする菜々美に涼香は目を細める。
「ここねに言うわよ。菜々美は貰った誕生日プレゼントのこと覚えてないって」
「やめて! ちゃんと言うから! 手作りのお菓子とその……手編みのマフラーとか、セーターとか? 季節外れだけど――って貰ったの……。あの時のここね可愛かったなぁ」
そう言って菜々美は頬を緩ませる。
「手作り……アリね!」
「アリじゃないわね」
「それはどうかしら」
菜々美がやめとけと止めるが涼香はどこ吹く風。なにを手作りするのか知らないが、やる気になっていた。
「あんたら仲良いね」
すると、教室の後ろのドアから二人に対する声が届いた。ちなみに菜々美の席は教室の後ろのドアのすぐ前。
「その声は……!」
「
「え、うざ」
彩は二人の連携に顔を顰め、菜々美の席とは正反対の自席に向かおうとしたが、なにを思ってか途中で菜々美の席へと戻ってきた。
「で、なんの話ししてんの?」
「涼音」「ここねの」の可愛いところ百選よ」
「……そう」
時間の無駄だったな……と、彩は踵を返して自席へと戻るのだった。
そんな彩の背中を見ながら二人は首を傾げる。
「なんだか不機嫌だったわね」
「アレはアレよ、嫉妬しているのよ」
「なにに?」
「自分で考えなさい」
「えぇ……」