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涼音の誕生日にて 2

「そういえば涼音すずね


 もたれかかる涼音に、涼香りょうかはふと浮かんだ疑問をぶつける。


「なんですか?」

「ケーキって涼音の手作りなの?」


 檜山ひやま家では、誕生日ケーキは涼音が作っていると結構前に聞いたことがある。しかしそれは、涼音の両親が誕生日の時にそうしていると聞いただけであって、涼音自身の誕生日にはどうしているのかは分からない。


「いえ、さすがに自分の誕生日は自分で作らないですよ」


 そう言いながら涼音は涼香にもたれかかるのを一旦やめて離れる。


「本日の主役ですよ」


 そして涼音は『本日の主役』と書かれたタスキを涼香にアピールする。


「主役がケーキを作ってどうするんですか!」

「ふふっ、確かにそうね。という訳で、私をプレゼントするわ!」

「なにが、という訳、なんですか……」

「ずっとこのリボンつけているのに、なかなかツッコんでくれないからよ。結構重いのよ、これ」


 そう言いながら涼香は頭につけたデッカイリボンを外す。余程疲れたのだろう、首を軽く揉んでいた。


「あ、お疲れ様です」

「さあ、今年も受け取りなさい」

「なんで毎年毎年受け取るんですか? 優勝旗ですか? あたし返却してないと思うんですけど?」

「私が毎年やりたいのよ」

「……知りませんよ」


 涼音は、水原みずはら涼香Nを大切なものポケットに入れるのだった。

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